3つめの元凶は「荒さ」
そして3つ目の元凶は、「すべての考証、ディテールがあまりにもずさんすぎる」という点だろう。
「今までの朝ドラにもいいかげんと思えるシーンは多くありましたが、ここまで突っ込まれることはなかった。それはひとえに、脚本が面白かったり、登場人物が共感を呼ぶ存在だったりしたから多少のアラは気にならなかったということだと思われますが、『ちむどんどん』はそれにしても酷いですよね」(前出のテレビ誌編集者)
例を挙げればきりがないが、たとえば、沖縄産のサツマイモ類は、指定害虫のイモゾウムシやアリモドキゾウムシが寄生している可能性があるために2022年でも本土への持ち込みが禁止されている。にもかかわらず、食品卸業を営む智が沖縄産の紅芋を本土へ輸送していた。
そのため視聴者からは「紅芋って作物のまま本州に持ち込んじゃいかんやつでは」「沖縄取材してたら空港で絶対芋持ち出し禁止のポスター見てるはずだし智のシーンも生のまま仕入れるように聞こえる会話には書かないはず」と猛ツッコミが発生してしまった。
また、8月10日発売の『週刊文春』(文藝春秋)では、『ちむどんどん』では暢子らの出身地、沖縄北部・やんばる地方の方言が再現されていないことが指摘されていた。
ドラマの公式ホームページに掲載された沖縄ことば監修の藤木勇人(61)のインタビューでは、「全国の人が聞いて『沖縄らしいな』と感じつつ、きちんと意味が伝わることば選びを大切にしています。
物語の時代も意識していますが、当時やんばる地域で使われていた方言を忠実に話すと、おそらく私でも意味がわからない言葉が多いと思います。
なので沖縄北部のみなさまにはご理解いただき、私流の『ウチナーヤマトグチ』ということばを駆使させていただいてます」と、やんばる方言を忠実に再現すると視聴者に伝わりづらいために独自の『ウチナーヤマトグチ』を使用しているとのことだった。
「リアリティと視聴者に伝わりやすい表現のはざまで制作陣が苦心していたのは理解できますが、だったらやんばる地方を舞台にした理由は何だったのでしょうか。
そして、ドラマの番組説明にある“個性豊かな沖縄四兄妹の、本土復帰からの歩みを描く”ことも全く実現できていないという指摘もあります」(前同)
1972年5月15日の沖縄の本土復帰については、暢子が上京したバスにかけられた「祝 本土復帰」という垂れ幕1枚で終了し、今なお沖縄北部に多くある米軍基地や米兵は登場せず、1975年に沖縄北部・国頭郡本部町で開催された沖縄国際海洋博覧会は完全に省かれてしまった。
「肝心なところ、作品にとってとても重要だと思われるところは描かず、恋愛編や姑説得編で7週間も費やす……いつも朝ドラを楽しみにしている視聴者からも猛批判の声が上がってしまうのは当然なのではないでしょうか。
大酷評されている『ちむどんどん』ですが、視聴率はほぼ16%前後で安定しています。もはや、視聴者もツッコミどころを探すためにドラマを見るという状況になっていそうですね……」(前同)
史上ワースト酷評朝ドラ『ちむどんどん』は、いったいどのような大団円を迎えるのだろうか?
NHK総合 月~土 8:00~8:15、12:45~13:00(土曜は一週間の振り返りを放送)
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/chimudondon/