お金や個人情報の共有は一歩間違うとトラブルに

 お金に関する各種情報の共有は、十分注意して行わなければならない。一歩間違うとトラブルを生むことが多いからだ。

 例えばネット銀行やネット証券のID、パスワード。よかれと思ってお金終活で書き残しておくと……。

「ID、パスワードを入力すれば家族は故人が取引していたネット銀行やネット証券の口座にアクセスできます。その際、残高があればお金を引き出せるため、相続トラブルの火種になりかねません。無用なトラブルを回避するには、金融関係のID、パスワードは書き残さないほうがいいでしょう」(伊勢田さん)

 逆に、夫婦で情報を共有しなかったことから、悲惨な事態に直面するケースも認識しておこう。

「共働きの場合、お互いの貯金額を把握していない夫婦は少なくありません。相手が貯金をしてくれているとお互いに期待し、実際は共に貯金をほとんどしていなかったとします。老後近くにその事実を知ったら、青ざめますよね。老後の生活費が足りなくなってしまいます。ですからお金終活で双方の銀行口座を確認するとき、貯金額も確認し共有しておくようにしましょう」(馬養さん)

信頼からの共有がリスクを招くことも

 さらに、情報共有の“時期”が思わぬ不運を招くケースも。レアケースだがありえなくはないだろう。

「スマホのログインパスワードの取り扱いで起きたある夫婦の話です。その夫婦は生前から情報共有し、万が一に備えていました。ある日、妻が何の気なしに夫のスマホを開いたところ、夫がSNSでハートマークのついたメッセージを会社の女性に送っていることが発覚」(伊勢田さん)

 実際は深い意味はなかったのに、奥さんは浮気だと勘違いして夫婦は離婚。

「この事件を教訓にするなら、生前はログインパスワードを封印し、自分の死後に配偶者が気づくような場所で保管する選択肢が考えられるでしょう。ほぼ確実にチェックされる保管場所は財布ですね」(伊勢田さん)

POINT!
・家族でもすべて共有しなくてOK
・パスワードの管理は厳重に