知識だけでなく手も動かす!
建築家の基礎を押さえたら、知識を活かして手を動かすワークにも挑戦!
「2チームに分かれて、紙でタワーをつくるよ。20枚のA4の紙を使って、高い建物をつくったほうが勝ち。紙は折っても切ってもいいけど、はさみやテープは使わない。高さは10秒キープできればOKです」
作戦タイムが3分、建築タイムが7分。道具も使わずにどうやって?と取材陣が戸惑っているうちに、子どもたちは話し合い、どんどん手を動かす。
Aチームは、三角形の丈夫なブロックを作って積み上げる作戦。Bチームは、紙を丸めた柱を何本か立て、その上に紙1枚の天井をのせ、さらに柱をのせていく作戦。結果は、素早く高さを作ったBチームの勝ち!
紙しか使わせない意図について、講師は「あえて材料を制限することで、発想を促しています」と話す。
午後は、ニューヨークにあるグッゲンハイム美術館の建築図面(平面図・立面図)が配布され、図面の見方を学ぶ。
続いて午前中とは違う2チームに分かれ、戸建て住宅の図面をもとに、プロも使用する厚紙、スチレンボードで建築模型をつくっていく。
課題のレベルに合わせたチーム分けで学習効果を高める工夫も施されていた。
「お仕事」を通じて勉強そのものが好きに
1日目は『模型』、2日目は『建築』、3日目は『都市計画』について学びを深め、その集大成となる4、5日目。いよいよ“自分の理想とする建物やまちの模型づくり”に挑戦する。
講師が「自分が住みたい家や住みたいまちの企画書を書いてみよう!」と呼びかけると、子どもたちはぐいぐい企画書を書いていく。悩んでしまった子には講師が質問をしながら、「つくりたい」気持ちを引き出していく。
「何が好き?」
「お菓子屋さんとか、ケーキ屋さん……」
「じゃあ、こんなお店があったらいいな、っていう建物の模型は? 好きなお店があるまちの模型でもいいね」
低学年の女の子は、アイスクリーム店の建物の模型をつくることに。店舗面積をイメージするため、塾の床の均等に並ぶ木目を数えて歩きながら、縮率を図面に書き込んでいく。
低学年の男の子は、コンビニや学校、病院が1つあると何人集まるまちになるか、など『都市計画』で学んだ知識を活かし、50万人が住む大都市をレゴブロックでつくるという。
企画書ができたら、それぞれが完成を目指し、黙々と手を動かす。
建物の図面を描き、模型をつくるには、算数の比や割合、四則演算、図形の知識なども必要になる。「詰め込み授業が嫌で算数が苦手になった子も、手を動かしてモノをつくりながらだと、感覚的に理解できるようになります」と講師。まだ比や割合、割り算を学んでいない子には、塗り絵やブロックを使って理解をサポートする。
そして迎えた発表タイム。保護者やみんなの前で、企画や工夫した点について説明していく。高学年組のうち、サワさんは「おばあちゃんの家がモデル。一部改良して、屋根裏部屋をつくった。屋根は皇居を参考にした」と発表。アンナさんは「3階建ての家。屋上はプールで、その底は透明なので2階の天井から水が見える」とこだわった点を話す。どちらも精密な模型に仕上げ、保護者からも歓声が上がった。