電車で移動しても誰も『りんごちゃん』だと気がつかない
ずっと憧れていた、テレビに毎日のように出ている状況はまるで夢のようだった、とりんごちゃん。
「スターって、収録で一度家に帰って2〜3時間したらマネージャーさんが迎えに来てまた仕事して……と分刻みに仕事しているイメージ。私もリアルにそういう日があって『スターになった!』って喜んでいました。でも忙しすぎて、それまで大事にしてきた感謝する心を忘れかけてしまう時期も。やはり時間に余裕がないとダメですね」
給料は一桁増えたが、生活はまったく変わらなかった。
「もらえるお金が増えても『今だけ』という意識があったし。もともと豪邸、高級車、ブランドものには興味なし。ずっと100均やプチプラファッション、コスメなどが好きで、それはブレイクした当時も今も変わりません。地元に帰ってプチプラショップに行っても『これかわいいけど4000円もするのかー。どうしようかな?』と、しぶったりするので、姉からは笑われています」
移動もずっと「素りんご(すっぴん)」のときは電車だ。
「周囲にとけ込む技を持っているし、テレビ出演のときは特殊メイクくらいのレベルで盛っているので(笑)、全然気づかれないんです」
最近は直接ファンの人と交流する場も多く、楽しいという。
「SNS以外にも、地方のステージに立って、ものまねを披露したりしています。テレビに出る機会は減りましたが、その分、営業イベントでファンの方と会える機会が増えました。イベントに出ると“以前テレビでよく見てました”“今は何してるの?”なんて言われて“私って過去の人〜?”と思うこともありますが、あまり気にしないですね」
1日警察署長でもハウンド・ドッグ大友を
青森県十和田市の観光大使となって、3年目。
「コロナ禍の始まりのころに就任したんですが、最初は東京から移動できずつらい思いをしました。今は毎月青森へ。先日も1日警察署長をさせていただきました!」
十和田署の1日警察署長を務めた際は県警音楽隊の生演奏でハウンド・ドッグ大友康平の歌まねなどで観客を盛り上げていた。変わらずりんごちゃんらしく活動している。
「私はものまねはできるけど、お話もうまくないし、だめなところもある。でもそれも全部自分。私らしく、できることを精いっぱいやっています。今後も全国を回って、みなさまに会いたいですね。観光大使の仕事も頑張ります! 私は地元が大好き。もっと県の魅力をアピールして地域貢献したいです。これまで自分がたくさん夢を叶えてもらったので、今度は故郷に恩返ししたり、全国のみなさまの夢を叶えていきたいです!」
ものまねタレント。武田鉄矢、大友康平、吉幾三などのレパートリーを持つ。『ものまねグランプリ』や『ウチのガヤがすみません!』(ともに日本テレビ系)といった番組で活躍。'19年にはネタ中の決めポーズ「スターティン!」が『流行ポーズ大賞』で2位を獲得。
<取材・文/野中真規子>