近隣住民によると、大田さんと山本容疑者とみられる男が一緒に外出する姿は何度か目撃されている。
「男は大田さんのうしろを歩き、すれ違うとき頭を少し下げる。痩せていておとなしそうに見えました。日曜日の朝、一緒にスーパーに買い物に出かけるときなんか楽しそうでした。裏切った男が本当に許せない」(前出の住人)
将来に向かって歩みを進める大田さんとは対照的に、山本容疑者はくすぶった日々を過ごしていたようだ。
前出の在阪記者は言う。
「山本容疑者とみられる男はSNSで競馬のAI予想などに関心を示していた。約2年半前には、実業家の前澤友作氏による1000人に100万円を贈呈する企画に反応しており、勉強よりも金に目が向いている。昨年11月には“病みそうや”と綴っており、大田さんとは人生観が異なっていたとも考えられる」
目立ちたがり屋だった容疑者も…
山本容疑者は府内の貝塚市出身。小学校の同級生はその素顔をこう語る。
「明るいキャラクターでよく笑い、あえて人前に立って誘い笑いするほど目立ちたがりでした。まじめに剣道に打ち込んでいて腕前もなかなか。キリッとした眉毛が印象的でしたが、女子にモテたかどうかは記憶にありません」
礼に始まり、礼に終わる剣道で鍛えられたのか、別の同級生の保護者は「スポーツ万能で礼儀正しい子だった」と評する。
剣道は小・中学と続け、中学3年のとき大阪代表として全国大会にも出場。所属していた剣道クラブ関係者に人物像を尋ねると、
「褒めるのも、けなすのもできない。巧次郎どうこうで言うのではなく、被害者の親御さんの気持ちを思うとつらくて私の立場からは言えない」
とだけ話した。
命を救う現場で働くことを夢見た大田さんはどれほど無念だったか。山本容疑者はすべてを思い出す必要がある。