またしても居た堪れない事故が起きてしまった。
9月5日の午後、静岡県牧之原市の認定こども園『学校法人榛原学園 川崎幼稚園』の通園バス内で、園児の河本千奈ちゃん(3歳)が意識不明の重体で発見され、その後死亡が確認された。
朝の登園時にバスから降ろされず、同日の牧之原市は30度を超える暑さの中で、5時間にわたって車内に置き去りにされたという千奈ちゃん。死因は熱中症とみられている。
通園バスを運転していたのは73歳の園長で、付き添い員として70代の女性スタッフも同乗していたというが、「降車をはっきり確認したか覚えていない」との旨の話をしているという両者。警察は業務上過失致死容疑の疑いで捜査を進めている。
2021年7月には福岡県中間市の保育園でも、5歳の園児が9時間にわたってバス内に置き去りにされて熱中症で死亡する事故が起きたばかり。「同じく子どもを預かる身である一方で、どこか事故を人ごとのように見ていたのでしょうか」と話す全国紙社会部記者は、納得がいかない様子で続ける。
「そして合点がいかないのが、園児をバスから降ろした後に、教室内で“出欠の確認をしていなかったのか”ということ。もしも、ここで千奈ちゃんが登園していないことがわかったのならば、保護者への連絡はもちろん、あらためてバス内の確認も見直されていたと思うのですが」
誰も「千奈ちゃんがいない」ことに気づかず
5月時点で0歳児から未就学児まで、158人が在籍していたという川崎幼稚園。乳児クラスや幼児クラスと各年齢ごとにクラス分けがされて、それぞれに担任と副担任の保育士、また教諭が受け持っていたことだろう。
事前の欠席者の連絡を踏まえた上で、園のスタッフらが当日の登園者の数を把握し、出欠の確認していれば「千奈ちゃんがいない」ことに気づきそうなものだが……。
牧之原市子ども子育て課に、市内の保育園や幼稚園における「出欠確認の状況」を問い合わせてみると、
「一般的な考え方としても、当然(園児の出欠を)確認する必要があるものとしています。
市の方では、厚生労働省ないし文部科学省から出される事務連絡を必ず各園に通知して、バスのことに関わらず、いろんな件に関して安全に注意して園運営をお願いします、という形で連絡をさせていただいています」
では、当日の川崎幼稚園は、実際に園児たちの出欠確認をしていたのだろうか。