同店はお任せコース1人2万円で、酒代としてプラス5000円という価格帯で、完全予約制だったという。

「オープンしたての頃、老人会の集まりで使おうかと思って訪ねたけども、高すぎて使えんかったわ(笑)。わしら庶民には手が出えへんから、ここらで行ったことのある人は、ほとんどおらへん。中は意外に狭くて、カウンター席が6つぐらいの、こじんまりした店やったな」(別の近隣住民)

 近所の評判はかなりよくて、

「大将(榎本容疑者)は気さくで、とても礼儀正しい。店の入り口付近にある植物を毎日きちんと手入れしてはるし、何人かいる店員さんもちゃんと教育されとる。お客さんが帰るときには表へ出て、タクシーまでお見送りしとったしね」(同・住民)

 さらに同店で、この類の犯罪は起きにくいのではとも。

「だって、修行しとった名店のときからの常連さんも通ってるやろ。だいたい1日に1組か2組しか客を取らへんし、会社の接待や金持ちの夫婦かカップル。女性客が1人で来るところやないからねぇ。なんでこうなったんやろう」

 とみなが首をかしげる。だが、ある食通の女性はこう話す。

「ミシュランなどに出ているような有名店に行ってみたいとき、正規の客としてでは値段が高くて行けないので、店のSNSに“行ってみたいです!”とDMを送ってみることもありますね。ノリのいい店主がたまに“お金はいいから、試しに来てみる?”と返信してくれたりするので……」

 榎本容疑者の犠牲になったのは、そういった女性客なのかもしれない。

飲まされて“記憶がない”客も

「榎本さん(容疑者)自身も酒が好きで、接客しながら飲んでいましたね。会話も巧みで、ついつい飲まされて“記憶がない”という客も少なくなかった。終電近くになって帰ろうとする客に“泊まってけ”と声をかけたことも」(飲食店関係者)

榎本正哉容疑者が店主の日本料理店『榎本』の内観
榎本正哉容疑者が店主の日本料理店『榎本』の内観

 容疑者は客によく自身の身の上話もしていて、その中で

「離婚していて、小学生になる息子が一人いる。会いたい」

 と話していたとも。守る家族がいる身でなぜこのような卑劣な犯行に走ったのか。

 いずれにしても、榎本容疑者の犯行の全貌は、近々始まる初公判で明らかにされていくだろう。