家族葬の場合、注意したいのが遺族間で呼ぶ人の範囲を意思統一しておくこと。

「例えば、会社や友人関係は呼ばない、ということになっていたのに、長女の親友が『すごくお世話になったから』という理由で参列していたら、ほかのきょうだいは『俺は友達を断ったのに』と不満をもつことも。その後には相続の話し合いなどもありますから、親族間でギクシャクするのは、できるだけ避けたほうがいいでしょう」

ペットと同じお墓に入ることはできる?

 参列できなかった人への配慮もしておきたい。

「たとえ他人であっても、故人と親しければ喪失感で心にぽっかりと穴があいたような状態に陥るものです。そういった方にきちんとお別れの場を提供してあげることも家族の責任のひとつかと思います」

 現代は「おひとりさま」で生涯過ごす人も多い。いとうあさこ(52)は'17年『ウチくる!?』(フジテレビ系)で「神奈川県の南葉山にある海が見えるお墓に、大久保佳代子さんと一緒に入りたい」と話していたが、実現できる?

「海が見えるとうたわれている墓所はたくさんあります。ただ中には、海沿いにある霊園でも、実際に海が見えるのは敷地内の一区画だけだったりもします。その点にこだわるなら、現地に行って、どの区画なら海が見えるかを確認する必要があります。

 また一般的なお墓に親族でない人と入るのは、基本的には難しいと思います。お墓は『家』という単位でもつもの。特に税金で運営される公営墓地は、血族でないと納骨できません。1つのモニュメントの下に複数の人の遺骨を埋葬する集合墓なら可能ですが、その場合は赤の他人とも一緒になってしまいます」

 しかし、数は限られるものの、血縁関係のない人同士でも一緒に入れる墓地が近年売り出されているという。

「東京都伊豆大島にある『千の風 みらい園』という墓所があります。ここは海が見え、血縁関係や婚姻関係がなくても、一緒のお墓に入ることができます」

 では、愛するペットと同じお墓に入ることはできる? デヴィ夫人(82)は「愛犬たちと一緒に入るお墓の構想にすでに着手しているが、石やデザインなどで1500万円ほどかかると言われ、びっくり」と'18年のブログで明かしている。

「民間運営の霊園では、ペットと一緒に入れる区画が最近は増えてきています。ただし、同じ敷地内でも、ペット不可の区画もあるので、きちんと調べてから購入したほうがいいでしょう」

 故人や遺族の思いに寄り添って、丁寧に送り出してくれる葬儀社や霊園は、探せば必ずある、とのこと。希望があるなら、あきらめずに相談してみては。


お話を伺ったのは是枝嗣人さん
クローバーグループ小金井祭典代表。グリーフ・ケアサポートの専門家。当事者の気持ちに寄り添い、数々の「唯一無二のお葬式」をコーディネート。ラジオ番組『是枝つぐとのおみおくり百科』出演中。著書に『日本一笑顔になれるお葬式』(扶桑社)

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〈取材・文/中西美紀〉