ryuchell自身は、高校時代に意を決し、ずっとあこがれていた金髪のカールヘアにメイク姿で思い切って登校。

 “本当の自分”を同級生に認めてもらえたことが自信につながったと語っていた。

「ファッションやメイクでは大胆な表現ができても、やはり“男性は女性を愛するべき”という意識は強く刷り込まれたものだったのでしょう。今回のryuchellさんの“苦しかった”という発言からもよくわかります」

 印象的なのは、

《夫として、男として、pecoを守れなかった》

 という言葉だ。

「共働き家庭が増加し続けている現在、経済的な面からも、もはや夫がひとりで家計を支えているケースは少なくなりつつあるのでは。それでもやはり、夫が家庭を守るべきとの考え方は根強いのだと思います。こういった世間の風潮も、少しずつ変わっていけばいいなと感じます」

子どもには丁寧な説明が必要

 ryuchellのカミングアウトが、4歳のひとり息子に与える影響を心配する声も多く聞かれた。今回の離婚について、ふたりはできるだけ息子にわかりやすく説明したと週刊誌のインタビューで明かしている。

「男の子だけど男の子を好きな人がいて、ダダ(パパ)はそういう人なんだよ」

「あなたは紛れもなく愛し合って生まれてきた子なんだよ」と息子に伝えたところ、「僕はハッピーだよ」との言葉が返ってきたという。

「子どもへの丁寧な説明はとても大切で、今回のおふたりの対応は素晴らしいと思います。セクシュアリティーの問題にかかわらず、両親の離婚や別居では、子どもに心配をかけまいと真実をあいまいにしたり、嘘をついたりしてごまかしてしまう方もいます。

 それだと子どもは“聞いてはいけないことなのかな”と親に気を使うようになり、苦しくなってしまいます」

 離婚や別居を決断したときだけではなく、子どもが成長していく過程で、その都度丁寧な説明やフォローをしていく必要もある。

「おふたりのお子さんはまだ4歳。これから理解力が深まったり、思春期を迎えたりと、成長段階で父親のセクシュアリティーにもやもやした気持ちが生じる可能性は十分にあります。

 そんなときにお子さんの思いをきちんと受け止め、会話ができる親子の関係性をいまから築いておくといいですね」