お見合いからデートまで毎回同じ紫のチェックシャツ

 きみおさん(45歳、仮名)からひろえさん(39歳、仮名)にお見合いのお申し込みがありました。ひろえさんは、受けようかどうか最初は迷っていました。なぜ迷っていたかというと、きみおさんのお見合い写真は写真館で撮ったものではなく、知り合いが撮ったと思われるスナップショット。その写真では、紫系の不思議な色のバランスのチェックシャツを着ていました。

 でも、経歴がとてもよかったので、ひろえさんはお会いしてみることにしました。お見合いを終えた、ひろえさんが言いました。

「お見合いにも、お写真と同じ紫のチェックのシャツでいらっしゃいました。髪の毛もボサボサでびっくりしました。でも、とても教養のある方のようで、話題は豊富で楽しかったんです。以前、鎌田さん(著者)が、『人には変えられるものと変えられないものがある』と言ってましたよね」

 そうなんです。髪型は変えられますが、顔の造形は変えられません(整形をすれば別ですが)。体重は変えられますが、身長は変えられません。学歴も変えられませんし、転職すれば年収を上げることができるかもしれませんが、そう容易い道のりではありません。

「そうした意味でいうと、服装や髪型は、すぐに変えられると思うんですよね。交際してみようかと思います」

 こうして交際希望を出すときみおさんからも交際希望がきて、二人は仮交際に入りました。ところが、2度目のデートを終えたところで、こんな連絡が来ました。

「お見合い写真も、お見合いも、2度のデートもすべて紫のチェックのシャツにベージュのチノパンでした。洋服はその1着しか持っていらっしゃらないのかもしれません。でも、まだそこまで親しくないので、そこに言及するのもどうかと思って何も言いませんでした」

 そして、2度目のデートで居酒屋さんに行ったそうです。

「ご自身で食べたいものを注文して、私には“何を食べたいか”、聞いてもくれませんでした。ビールを2杯飲まれて、私がまだ1杯目を飲み終えていないうちに、『行きましょうか』と伝票を持って立たれました。しかも、お会計が割り勘だったんです。最初のデートはランチで、そのときは自分で食べたものは自分で払う割り勘でした。今回はきみおさんが好きなものを好きなだけ食べて、ビールも2杯飲んで、きっちり割り勘というのは、納得がいかないと思ったんです」

 第一印象は見た目で決まります。“人は見た目が9割”と言われることもありますね。また、男女平等の社会とはいえ、レディーファーストがスマートにできる男、おもてなしの意味で女性にご馳走できる男性のほうが、間違いなくモテます。

 10年、20年と連れ添った夫婦なら許るされるかも知れませんが、まだ、女性を恋に落とす段階では、素を見せすぎず格好をつけることが大切ですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル