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ー 玄関口で口論、激化し警察沙汰

「お好きにどうぞ〜!」

 なんともふざけた口調でそう話すのは、とある不動産会社のセールスマンK氏。現在、NHK党の片岡まさし氏宅へ訪問セールスに来た際、玄関口でのやり取りを録画、録音されたものがTwitter界隈を賑わせている。

玄関口で口論、激化し警察沙汰

 NHK党片岡氏によると、セールス訪問に来たK氏は「なんで家の中に入れるのを嫌がったんですか? そんな感じじゃ話せないです」と家の前から帰らず、同じことを繰り返し話すため家に招き入れた模様。

 その際に撮影した動画では、「動画データを削除してほしい」K氏と「動画の撮影を続ける」片岡氏が言い争いを続けている。途中、映像が乱れると荒っぽい声だけが残り、録画していたスマートフォンをK氏に取られたようだ。

 しかし、片岡氏はもう一つのスマートフォンをポケットに忍ばせ録音。続けられた音声がYouTube内にアップロードされ、その動画では続きの音声が。

片岡氏「ほんとにね、大変なことになるよ」

K氏「だから全然お好きにどうぞ(笑い声)お好きにどうぞ〜!」

片岡氏「もう(家に)入ってきてる時点で大変なことになるよ」

K氏「お好きにどうぞ〜!」

片岡氏「いや“暴力振るってない”って暴力を振るっていなくても不退去罪だからね」

K氏「お好きにどうぞ〜!」

 この後の音声でも2人のやりとりは続き、荒っぽい声になりながら押し問答が続いている。映像はないものの、穏やかな口調から一転「お前わかってんのか?」などの暴言も聞こえ、「誰か警察呼んでください」と息を切らしながら助けを乞う片岡氏の音声は危機迫るものがあった。

 実際に、家に入ってきたセールスマンを撮影することは肖像権の違反になるのか。また帰ってほしいと伝えるも帰らない行為は不退去罪にあたるのか。弁護士ユーチューバーで、アトム市川船橋法律事務所の高橋裕樹弁護士に話を聞いた。

 不審と思うセールスマンを撮影をすることは肖像権の侵害に該当するのか。

肖像権の侵害になる可能性があります。ただ、セールスマンが言っている肖像権侵害が犯罪だという指摘は誤りです。犯罪ではありません。

 最高裁も“肖像権”自体を憲法上の権利として認めてはいませんが、“何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態(以下、容ぼう等という)を撮影されない自由”があるとしています。無断撮影などが違法になり、損害賠償が認められる可能性もあるでしょう。

 なお気をつけなければならないのは、撮影することと、公開することは別だという点です。今回のケースでは、自宅内に入ってきたセールスマンを撮影しているわけですから、撮影の場所や状況に鑑みると防犯カメラと同様の撮影ともいえます。そのため、撮影自体は適法と判断される可能性があります。

 一方、この動画を公表することは防犯カメラでの撮影とは次元が異なりますので、公表が違法と判断されることはあり得ます。このセールスマンの営業に気をつけましょうという公益目的もあるのでしょうから、直ちに違法とまではいえないと思いますが、トラブルになるので、公表することには慎重になるべきと思います」

 セールスマンが帰ってくれない場合、セールスマンは不退去罪にあたるのか。

「刑法130条後段の“要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者”にあたり、不退去罪となる可能性があります。

 撮影者の方(片岡氏)は“帰ってください”と言っていたので、要求を受けているのに退去していないことは明らかでしょう。

 セールスマン側は、無断撮影された動画の削除を求めているから、正当性があるというかもしれませんが、居座っている時間や言動などからすると、その主張は通りづらいように思います

 片岡氏は録音音声で「こんな人が八王子にいると思うと怖い」と話す。そんなK氏が勤めているとされる会社に電話してみると、一向に不通が続き、メールにて問い合わせるも期日までに回答はなかった。

 音声動画では聞くのもゾッとする内容がおよそ30分ほど続いている。最後、警察が仲介に入ってきたところで、音声動画は終了するが、片岡氏とK氏は今後どうなっていくのか。怪しい人は招き入れないに尽きるのかもしれない。

お話しを伺ったのは……高橋裕樹●弁護士、アトム市川船橋法律事務所代表。「すべては依頼者の笑顔のために」がモットー。3000件を超す法律相談実績を持ち、相続や離婚といった身近な法律問題から刑事事件、企業法務まで何でもこなすオールマイティーな“戦う弁護士”。裁判員裁判4連続無罪の偉業を成し遂げた実績を持つ。(髙橋の高は“はしごだか”)
アトム市川船橋法律事務所=https://www.ichifuna-law.com/