赤十字標章(赤十字マーク)の役割

「白系統の背景に、赤系統の十字が描かれた『赤十字標章(赤十字マーク)』は本来、戦争や紛争などで傷ついた人々とその人たちを救護する軍の衛生部隊や赤十字の救護員・施設等を識別するためのマークです。

 紛争地域等でこの赤十字標章を掲げている病院や救護員などには絶対に攻撃を加えてはならないと、国際的な取り決め(ジュネーブ条約)によって厳格に定められております。

 また、『赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律』につきましても名称等や使用に関して規定がございます」(日本赤十字社広報室)

 日本赤十字社の『赤十字標章パンフレット』でその規定を確認すると、赤十字マークは赤十字社と自衛隊の衛生部隊など、法律に基づいて認められている組織だけが使用できる。そのため、一般の病院や商品等に付けることは法律等により禁止されている。

 世の中でよく見られる間違ったマークの使用例としては、《市販のTシャツ、トレーナー、バッグ等》《会社の社章、商品のブランドマーク等》といったものがある。

 また、『赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律施行上留意事項の件』において、赤色系統の十字及び白色系統の背景はすべて“類似”としてみなされることも定められており、今回の特典グッズもそれに該当するが…。

赤十字マークのような柄がついたマスクケース(UNIVERSALMUSICJAPAN椎名林檎「百薬の長」特設サイトより)
赤十字マークのような柄がついたマスクケース(UNIVERSALMUSICJAPAN椎名林檎「百薬の長」特設サイトより)
【写真】中学生時代の椎名林檎、決めポーズがかわいい

この度のグッズ制作にあたり、事前にレコード会社から弊社あてのご連絡やご相談はいただいておりませんでした。

本件につきまして、現在、レコード会社からご連絡をいただき、対応について協議されていると伺っております」(日本赤十字社広報室)と、やはり椎名サイドは赤十字マークの違和感に気付く者はいなかったようだ。

「日本赤十字社では法律で赤十字標章の使用許可を受けている一組織として、標章の本来の意味をお伝えし、ご理解いただく活動を行っております。みなさまには、今後も赤十字標章について適切にご理解いただきますよう、お願い申し上げます」(日本赤十字社広報室)

 騒動後、レコード会社は

「11月30日(水)発売予定の椎名林檎のオフィシャル・リミックスアルバム 『百薬の長』【UNIVERSAL MUSIC STORE限定盤】に付属する特典グッズに関しまして、多くの方々からご意見を頂戴しました。

 そちらを踏まえ、ただいま発売元のユニバーサル・ミュージックが対応について協議をしております。改めてご案内させていただきますので、いましばらくお待ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。」

 と、コメントを発表している。いったいどのような結末を迎えるのか――。