現役引退後も才覚発揮も二度の暴力トラブル
その西武時代では、当時の森祇晶監督から評価されることなく二軍生活を余儀なくされていたが、1992年に巨人にトレード。そこからの活躍はアラフォー以上の野球ファンなら誰でも強烈に覚えているはず。
また引退後も西武のコーチ時代はメジャー流のアーリーワーク(早朝練習)を導入するなどして、中村剛也らの強打者を育てた。そして星野仙一氏からのラブコールがきっかけで前述のように楽天の一軍監督も務めた。
デーブが心配なところはまず健康面だ。2021年8月に心筋梗塞を発症し、その後復帰したが、Twitterで「生死をさまよった」と告白している。もう一つ不安な部分がアンガーマネジメントだ。元巨人軍広報香坂英典氏によると「本音を隠せずに、そのまま言うタイプ」。
西武一軍コーチ時代の2008年には知人女性を殴ったとして、書類送検され、2009年に東京簡裁から罰金20万円の略式命令。このため、一軍打撃コーチから編成部に異動。2010年には西武の二軍コーチに復帰したものの、現在メジャーリーグで活躍する菊池雄星に遅刻をめぐるトラブルで暴行した疑いで、球団から解雇された。
デーブが個人で菊池の練習遅刻の罰金を徴収し、個人利用していたとされていたが、罰金を徴収していたのは別の自主グループであり、菊池に対して暴言はあったが、暴行はなかったと弁明している。当時監督でのちにシニアディレクターになった渡辺久信氏の仲介で、2016年に菊池と和解している。
デーブ大久保の転機
本音しかないところがYouTubeでは活かされたが、こと野球に関してはうまくいく場合といかないときの落差が激しい。そんなデーブも大人として成熟する出来事があったようだ。
現役のとき森監督は「顔も見たくない」「口も聞きたくない」存在だった。でもだからこそリーグ優勝8回、日本一6回という成績を残せたのだ。選手に恨まれるようじゃないと、名将にはなれない。自分が監督を経験して、はじめて森監督の偉大さが分かったという。
デーブが嫌っているということは知っているはずなのに、森氏は数年前に再会すると優しく声をかけてくれた。デーブは自分が今までしてきたことが恥ずかしくなり反省し、影で号泣したという。森監督の下にいたときは「全てを人のせい」にしており、監督の立場からみると最低の選手だったとふり返った。
人間的にも成長したデーブは原監督を男にして胴上げすることができるか。