続いて起こったリコール。
発売前に分かっていた“不具合”
「リコールの発表は、発売から約1週間後の21日。不具合の内容は、まず1つが折りたたんだ状態のとき、勝手に開かないように刃を持ち手と固定するネジが外れないこと。使う際はそのネジを外し、折りたたまれた刃を開いて使うのですが、そのネジがあまりに固く、男性でもなかなか外すことができないほどだった。
2つ目は持ち手の“処理”が甘かった。持ち手の素材はステンレスなのですが、端部をなめらかにする処理がなされておらず、手を怪我する恐れ、下手をしたら手を切ってしまうような状態でした。包丁の刃ではなく、持ち手で切れてしまうなんて恐ろしいことです……」(前出・アウトドア雑誌ライター、以下同)
上記2点はスノーピークが公表しているリコール理由だが……。
「購入者は2点以外も指摘しています。たとえば折りたたみナイフだと、持ち手に挿入されている刃を開くときに使う“窪み”みたいなものがありますよね?
それと同様の役目をする“穴”がスノーピークの折りたたみ包丁には施されていたのですが、2つ目の持ち手の問題と同様に処理があまく、開くときに“手を切りそう”という評価でした」
今回のリコールに、購入者やスノーピークファンらからは、
《スノピの品質管理どうなってる》
《サンプルや試作段階での品質管理でわかってたでしょ?》
《仮にも東証に上場してる企業が出すものではない》
「スノーピークの商品はアウトドアファンにとって“高いけど、品質の良いモノ”として認知されています。今、スノーピークも含めた日本のメーカーのアウトドアグッズを、粗悪な素材で形だけそのまま真似たような中国製の“パクリ商品”が跡を絶ちません。そういった商品は、“安かろう悪かろう”であり、“本物”に比べて品質が格段に落ちるものが多い。今回のスノーピークの折りたたみ包丁は、そのレベルに感じられたということです」
リコールなので、本商品は“発売後”に回収しているわけだが、1つ不可解な点がある。商品に同封されている『安全上の注意事項』に、ホームページで発表されたリコール理由への“対処法”のような記述が書かれているのだ。記されていた該当記述は以下。
【開閉の際は、強めの力が必要ですので、十分に気を付けて開閉してください。ご自身で開きにくいと感じた場合は、無理をせずに力のある方に開閉してもらってください】
【収納時に開閉ロックネジが回しにくい場合があります。刃の角度を少し開くなどして穴位置を調整することでネジが入りやすくなります】
「開閉に多少の力がいる物はほかにもあるかもしれませんが、“開閉できなかったら力のある誰かに頼んで”という記述は初めて見ました(苦笑)。最近はソロキャンプも流行ってますが、そういう人は見知らぬ誰かに包丁を預けて開けてもらわなきゃいけないことに……。
そしていちばん不可解なのが、対処法を注意書きに書いているということは、発売前にこのような事情は、“わかっていた”ということになります。
他人にお願いするケースも想定されるレベルに開閉にはかなりの力が必要であり、ネジも回しづらいことはわかっていたけど、“それでも出した”。もしくは“このような状態だけど、会社として許容範囲だった”ということです。結果として回収しているので、許容範囲ではなかったわけですが」