「そこからは防犯カメラのリレー捜査をしたようです。要は、犯人が向かった方角に設置された防犯カメラをしらみ潰しにチェックしていく地道な捜査。それで、ようやく大手ファーストフード店の駐車場でバイクに乗った犯人と軽自動車に乗った仲間が落ち合う姿を確認できた」
その後、犯行に使われたバイクが発見され、ハンドル部分に残った硝煙反応があった。証拠は揃ったように思えたが、
逮捕できても有罪にできない
「検察から“これでは逮捕はできても否認されたら有罪にもっていけない”と言われたそうです」
今回、報道では現場付近に残されたたばこの吸い殻に付着したDNA型が田中受刑者と一致したことで逮捕に踏み切ったとあるが、
「15年の時点でDNA型の結果は出ていたが、それでも検察は首を縦に振らなかった。なぜなら、DNA型の一致だけでは現場にいた証明にはならないから。誰かが田中受刑者を罠にハメめるために、現場に吸い殻を置いていった可能性がゼロではないと」
目撃者もゼロ、証拠もなし。八方塞がりとなった府警が考え出したのが、新たな鑑定法“たばこの燃焼状況”だった。鑑定すると、「湿った路面で消されたもので、その場所は犯行現場と推定できる」という結果が出たのだ。
「私は燃焼鑑定なんて、聞いたことない。知人の警察官に聞いても同じ反応でした」
事件から9年という月日が経ってしまったが、
「府警はひとつの区切りとしてご遺族の方々に逮捕のご報告ができたのではないでしょうか。また、本件に携わった刑事も定年退職で1人抜け、二人抜け…と聞いていました。彼らの思いも報われたのでは」
今回の逮捕で、事件の全容解明が期待される。