かつては「人気少女漫画家」として、現在は「レディコミの女王」として知られる漫画家の井出智香恵さん。74歳の今も漫画界の第一線で活躍し、多くの読者から指示されている。最近では国際ロマンス詐欺の被害に遭ったことでも注目され、その経験を赤裸々に書いた書籍『毒の恋 7500万円を奪われた「実録・国際ロマンス詐欺」』、漫画『毒の恋 ーPOISON LOVEー』(ともに双葉社刊)も大きな話題となっている。
そんな井出さんだが、昨年から今年にかけて『週刊女性』誌上にて漫画「令和版・羅刹の家シリーズ」を連載しており、その第4弾となる『愛の行方とゴミ屋敷』がめっぽう面白いと話題となっている。
タイトル通り、現在大きな社会問題ともなっている「ゴミ屋敷」をテーマとした作品で、話は主人公の竹村和《なごみ》(35)が、夫の徳一 (37)と息子の登紀 (5)とともに4年ぶりにシカゴから日本に帰国するところから始まる。
和は今回の帰国を心待ちにしていた。なぜなら、日本で徳一の両親と同居することを楽しみにしていたからだ。徳一の両親は裕福で白亜の城ともいえる豪邸で暮らしており、貧乏育ちの和は、ぜひその豪邸で暮らしてみたいと思っていたのだ。
しかし、期待を胸に訪れた白亜の城は一変していた。なんと、悪臭を放つ壮絶なゴミ屋敷に変わり果てていたのだ。
近所の人の話では、3年前、徳一の父親がキャバクラの女と家を出て、それ以来徳一の母は様子がおかしくなり、町中のゴミを集めてくるようになったとのことだった。
衝撃を受けた和だったが、後日、ゴミ屋敷にこもる義母に会うことに成功。義母の話では、義父は愛人であるタイ人女性のタマリを妊娠させた上、結婚して豪邸もタマリに譲ると宣言。
錯乱した義母は失神し、気づいたときには義父たちの姿はなかったという。そして自分は、義父とタマリを絶対に住まわせないために、この家をゴミ屋敷にしたのだと告白。
しかし、その後、和と徳一が義父とタマリの行方を調べ始めたところ、いくつかの謎が出てきて……。
物語の最後にはゴミ屋敷が抱える恐ろしい秘密が明かされ、和同様、読者も驚愕させられることとなるが、それはぜひ作品を読んでその目で確かめてほしい。
年をとった親の家がゴミ屋敷になるという現代的な問題を、一流のサスペンス、そして嫁姑のドラマとして我が物に仕立て上げる井出智香恵さん。いつまでも現役漫画家であることに納得させられるそのアンテナと鮮やかな手腕、ぜひご堪能あれ。