母親は、「お任せします」と答えたというが、この状況ではほかに返答しようがないだろう。体罰を加えるとは思いもしなかったようだ。
一方、保護者の許諾を得たと思った男性教諭は堂々とビンタ。対戦相手のバッテリーは驚き、叩く音は相手側ベンチまで聞こえた。
「3年生が引退して出場できるメンバーは10人だけ。被害生徒は過去にもユニフォームを忘れたことがあり、男性教諭は“部員数がぎりぎりで切羽詰まって自分を見失ってしまいました”と話しています。また被害生徒は母親とのやりとりの中で、ユニフォームを忘れたことを男性教諭に伝えているような言い方をしましたが、実際には母親からの連絡で知ったといいます。そういう姿勢も許せなかったようです」(前出の校長補佐)
母親が届けてくれたユニフォームに着替えてベンチで仲間を応援しようとしたが、男性教諭は許さなかった。
「あっちへ行け」「ベンチに入るな」
被害生徒はひとりケガに耐え忍び、仲間と離れた場所で立ち続けることになった。
「まだおったんか」
試合には勝ち、チームは翌日対戦する他校の試合を観戦。このときもひとりだった。
男性教諭は合間で、
「おまえなんかおらんでもやっていける」「まだおったんか」
などと言い放ったという。
午後からのチーム練習への参加も認めなかった。見かねた女性コーチは部員たちに「(被害生徒に)声をかけてあげてよ」とうながしたり、本人にも「あしたのことを考えて自分で工夫して自主練習したらどう?」と提案した。しかし、男性教諭は自主練習も許さなかった。
「男性教諭は“振りかぶっては叩かず手加減した”と話していますが、男性だから強かったのではないか。翌25日の試合に被害生徒はユニフォームを忘れず姿を見せました。もともと周りに迷惑をかけたくないと考える責任感の強い生徒なんです」
と前出の校長補佐。
男性教諭は、試合に出すかどうかをコーチと相談し、出場させることに。試合前にスパイクに履き替えている最中、男性教諭は「ちゃんと反省しとんのか」などと言って尻を2発蹴り、頭をたたいた。冗談まじりであっても体罰だ。
被害生徒は試合でタイムリーを打つなど活躍し、チームは県大会に進んだ。