「忖度だらけの世の中と、機能していないメディアを鋭くえぐっています。作品として成立するのかもわからないまま脚本が進む中、異例中の異例の経緯で実現しました。佐野Pと渡辺さんの、今の世の中に抱いている危機感が共鳴し合い、フィクションを通して多くの人に伝播している印象を受けます」(田幸さん)
医療の問題提起を描いた『PICU』
吉沢亮主演の月9『PICU 小児集中治療室』は医療ドラマという一見、ありがちなテーマだが、ここにも意外なチャレンジが。
「描くのが難しいといわれている小児科が舞台。また地域医療としてのかかりつけ医との連携などの問題提起にもなっています。小児外科の患者たちや子どもを亡くした両親たちへの心のケアを重点的に描いた『グッド・ドクター』を手がけた金城綾香Pが、医療監修を務める日本小児救急医学会理事の浮山越史医師たちから『PICU』という題材を提案されてスタートしたドラマだけに、取材もしっかりしています」(田幸さん)
田幸和歌子(たこう・わかこ)●週刊誌や月刊誌、Webメディアなどで俳優や脚本家のインタビューや、ドラマに関する記事を執筆。著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)など