60歳になって、といってもその容姿は驚くほど若いが、これからどんな役をやってみたいのかを聞いた。

「僕はトレンディドラマからスタートしていますから、また恋愛ドラマもありかなと思うんです。大人の、胸の奥があたたかくなるような、そんな恋愛ドラマを見たいと思いませんか」

2022年『劇場版 科捜研の女』製作発表会にて。現在、最新シリーズが放送中
2022年『劇場版 科捜研の女』製作発表会にて。現在、最新シリーズが放送中
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 円熟味を増した大人の恋愛ドラマを見てみたい。気になる若さの秘訣を伺うと、

「ランニングは週に2~3回、筋トレもやっています。食べ物でもなんでも人にいいと言われたものはまずは取り入れてみる。がモットーかな。あとはね、サラダが大好きなんですよ。若いときにサラダバーでアボカドを食べすぎて、お店の人に注意されちゃったりして(笑)。健康のためというか、好きだからサラダは本当によく食べますね」

 そしてリフレッシュ法は山へ行くことだと話す。

「若いころは海だったけど、40代後半から山の魅力に目覚めまして。身体を動かすことが好きだから、山に登っていい汗をかくとスッキリします」

 でも最近は「ほどほど」を心がけているとか。

「運動も頑張りすぎると膝や腰が痛みます!(笑) お酒も、無理せずほどほど。これが今の僕のテーマです」

 自然体で、自分にいいと思うものをほどほどに長く続けることが風間流なのだ。

風間トオル
風間トオル

 


風間トオル
1962年生まれ、神奈川県川崎市出身。『メンズノンノ』のモデルとして脚光を浴び、『ハートに火をつけて!』(フジテレビ系)で俳優デビュー。

映画『わが愛の譜 滝廉太郎物語』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を獲得。『はみだし刑事情熱系』シリーズなどさまざまな作品で活躍。2011年から『科捜研の女』(テレビ朝日系)シリーズに出演中。

 

圧倒的人気を集めた“トレンディドラマ”

「月9」のドラマが始まって35年がたった。名俳優たちを生み出したさまざまなドラマは色あせない魅力を持つ。なぜトレンディドラマが大ブームとなったのか。20代だった、彼らの当時を振り返る。

『世界で一番君が好き!』で共演した浅野温子と。三上博史は当時28歳
『世界で一番君が好き!』で共演した浅野温子と。三上博史は当時28歳

 7月に60歳を迎えた三上博史。映画『私をスキーに連れてって』で原田知世の相手役として注目を浴びた後、月9ドラマの『君の瞳をタイホする!』『君が嘘をついた』『世界で一番君が好き!』(すべてフジテレビ系)に次々と出演。「トレンディドラマのエース」と呼ばれていた。

 日本大学芸術学部教授で、トレンディドラマ評論をしている中町綾子先生は、「多くのトレンディドラマの役者さんがいますが、三上さんの登場は鮮烈でした。『君が嘘をついた』で、恋愛ドラマに欠かせないゲーム感覚の恋のかけひきの半面で、繊細に揺れ動く気持ちをすくい取ったナイーブな演技で、その当時、女性たちの心をわしづかみにしましたね」

 三上といえば『世界で一番~』のタイトルバックで、浅野温子と熱いキスをかわすシーンを思い出す人も多いだろう。渋谷のスクランブル交差点のど真ん中で、エスカレーターのすれ違いざまにキス。あんなキスをしてみたいと、このドラマをきっかけに路上キスが増えたとか。

「この後、三上さんは、40~50代になると「WOWOWの社会派ドラマ『パンドラ』や『社長室の冬』などに出演し、トレンディドラマで見せていたナイーブさが、さらに深みを増していて、人生で苦悩する役を演じられているのが強く印象に残っています」(中町先生、以下同)

 ドラマ『集団左遷!!』(TBS系)ではヒールキャラを演じ、初めての時代劇ドラマで今川義元を演じ、大河ドラマにも出てほしいとファンをざわつかせている。60代になり、今度はどんな作品に登場してくるのか、期待を持って待ちたい。

中町綾子さん
中町綾子さん

 

教えてくれたのは……

中町綾子先生

日本大学芸術学部放送学科教授/専門はテレビドラマの表現の分析。主な批評に日本経済新聞「あのドラマこのセリフ」、読売新聞「アンテナ」、毎日新聞「週刊テレビ評」など。国際ドラマフェスティバル東京ドラマアウォード審査委員長。