「アイスをマシュマロで包んだもので、当時のマシュマロブームも後押しとなり、若い世代を中心に大変好評でした。しかし、もっと日本人の好みに合うようにと改良を検討した結果、アイスを包む生地をマシュマロからおもちへ変更することになり、『雪見だいふく』が誕生したんです」
とはいえ冷凍の状態でおもちのやわらかさを保つことは予想以上に難しく、開発は難航した。
これまで50種類以上を販売
「冷凍によるパサつきや、おもちを固くさせる“でんぷんの老化”を防ぐ技術を確立するため、発売までに1年近い期間を要しました」
『雪見だいふく』のもち生地に使われる原料には、もち粉の中でも上質な羽二重粉。産地まで限定するこだわりようだ。羽二重粉はきめ細かくなめらかな粒子が特徴で、高級和菓子などでも使用されている。冷凍下でも生地のもちもち食感を保つには、この羽二重粉と糖類の配合バランスが鍵を握る。何度も試作を重ねて生み出された配合技術は特許を取得し、約40年間、ロッテ独自の技術として守られてきた。
「この40年のあいだにも、もち生地は少しずつ改良を重ね、発売当初よりもさらにもちもち感がアップしています。よりおもちらしい弾力や食感を楽しんでください」
毎年、「期間限定雪見だいふく」が発表されるのも、ファンを飽きさせない楽しみのひとつ。
「'92年に、小豆アイスをよもぎ入りの草もちで包んだ『月見だいふく』、白味噌あん入りアイスを梅じそ風味のおもちで包んだ『梅見だいふく』が初めて発表されました。これまで50種類以上が発売されましたが、すべておもちとの相性を第一に考えられています」
これまでの期間限定商品の売り上げランキングトップ3は左のとおり。第2位の『おいしい苺』('04年、'05年)は、アイスの中にソースを入れた初めての商品として人気を集めた。
50種類以上ともなるとそろそろネタ切れが心配になるが、昨年からは有名和菓子店とのコラボが話題に。常に新しい試みにチャレンジし続けている。
「個人的には、2016年に発売された『雪見だいふく 黄金のみたらし 厚もち仕立て』がお気に入りでした(笑)。今年の10月に『菊乃井無碍山房監修 雪見だいふく 匠のみたらし』として新たに復活できたことを、うれしく思っています」