とはいえ、彼女はもともと、誰かに媚びるようなタイプではない。ハロプロの先輩でユニットを組んだこともある後藤真希とは一時、険悪な仲に。もうひとりのユニットメンバーである藤本美貴と親しかったため、ゴマキが孤立して、ほとんど口をきかなかったと歌番組で振り返っている。

 その後、ゴマキもトークバラエティーのなかで、ふたりの関係に触れ、楽屋でおたがいを「嫌い」だと言い合ったことを明かした。

「平成の山口百恵」だった松浦亜弥

 そんな松浦は、ファンに対してももたれ合うことをよしとしない。'10年のバレンタインライブでは、

「来てくれるのはうれしいけど、あんまり私ばかり追っかけてちゃダメよ。私、みなさんの人生にまで責任持てませんからね

 と語りかけた。そういう意味で、パフォーマンス的には「聖子の再来」でも、生き方としては「平成の山口百恵」だったのかもしれない。

 百恵もまた、アイドル時代に生涯の伴侶を見つけ、恋人宣言まで行って、結婚。それを機に引退して、その後は夫の三浦友和が窓口のようになった。

 実は聖子以降、アイドル時代のファンも確保しながら、芸能活動と結婚、育児などを両立させようとする生き方が主流になっている。そんな中、松浦は異色のスタンスを選択。ソロアイドルとしての輝きはもとより、こうした潔い区切りの付け方も伝説化につながった。それゆえ、新曲が配信されるだけで大歓迎されるのだ。

 ハロプロのアイドルでは、クローゼット不倫で消えた矢口真里やひき逃げ事故で引退した吉澤ひとみのように、区切りの付け方に失敗した人も珍しくない。やはり、区切りは大事なのである。

 というわけで、この連載も百回を迎えた今週でひと区切り。来週からは新連載でお目にかかります。引き続き、よろしく──。

宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。