大ヒットCMを生み出した広末涼子
また、商品に清新なイメージを出すため、あえて新人を起用するスポンサーも存在する。だからCMで世に出た女優も少なくない。その代表格は広末涼子(42)だ。
まず1994年、高知市内の中学校の2年生のときに、「ぴかぴかフェイスコンテスト」と銘打たれたニキビ治療薬・クレアラシルのCMオーディションに出場し、ぶっちぎりでグランプリを得た。
翌1995年に始まった同社のCMで広末は「毎日ピカピカ!」と叫ぶ。このCMは大評判となる。当時の広末はルックスがかわいらしかっただけでなく、屈託や憂いが一切感じられないという点でほかの10代のタレントとは全く異質だったからだ。突出して無垢だった。広末は同年、人気に背を押される形でフジテレビ系のオムニバスドラマ『ハートにS』で女優デビューを果たす。
翌1996年からはNTTドコモのポケベルのCMに出演。広末が誕生日プレゼントとしてポケベルを買ってもらうという設定で、児童遊園地の滑り台で「さて、誰にベル番号を教えるかな」とつぶやく。これも大ヒットCMとなった。当時、「広末効果でクレアラシルとドコモのポケベルの売り上げが急伸した」と言われたが、決してオーバーではなかった。
広末の印象があまりに強かったため、忘れられがちだが、ポケベルのCMには前任者がいた。1994年から2年間登場した葉月里緒奈(47)である。葉月の場合、TBS系の連続ドラマ『丘の上の向日葵』(1993年)で女優デビューしてから1年後のCM出演だった。
初代リハウスガール・宮沢りえ
やはりCMからスタートしたのは宮沢りえ(49)。1984年に雑誌モデルとして芸能界入りしたあと、翌1985年に不二家 『キットカット』などのCMに出演。さらに1987年、三井不動産販売(三井不動産リアルティ)のCMに出演したことで、一気にスターとなる。
「今度、旭丘にリハウスしてきました。白鳥麗子です」。宮沢は三井不動産販売の仲介で引っ越してきた転校生という設定だった。当時、14歳。このCMも大評判となり、「リハウス(引っ越し)」は流行語にまでなった。その翌1988年、宮沢は映画『ぼくらの七日間戦争』の主演で女優デビューを遂げる。
ちなみに宮沢は初代リハウスガール。スポンサーは宮沢以降も女優の卵たちを次々と登場させた。8代目は池脇千鶴(40)、10代目は蒼井優(37)、11代目は夏帆(31)、13代目は川口春奈(27)が務めた。
この4人もリハウスガールを務めたことで知名度を決定的なものにした。「新人女優の登竜門」と称されるCMは数多いが、出身女優が最も成功しているのはリハウスにほかならない。現在の近藤華(15)は15代目。宮沢は母親役で共演している。