今はガッカリでも「期待感の高い」作品

 一方で、がっかりの意見が多かったものの、この先まだ期待感の高い作品が。

ドラマ後半戦の巻き返しが期待される『親愛なる僕へ殺意をこめて』(左から山田涼介、川栄李奈)
ドラマ後半戦の巻き返しが期待される『親愛なる僕へ殺意をこめて』(左から山田涼介、川栄李奈)
【写真】今年は豊作だ!女性1000人が選んだ【2022年ハマった秋ドラマTOP10】

「『親愛なる』が否定された理由も明らかで、序盤の残酷描写がひどすぎて、そこで脱落した視聴者が多かった。でも中盤以降このドラマ、すごく面白くなっています。

 Hey! Say! JUMPの山田涼介さん扮する主人公の二重人格の逆転や門脇麦さん演じる恋人の裏の顔、佐野史郎さんの冬彦さんばりの怪演など見どころ満載の極上のサスペンスになっているんです」

【女性1000人が選んだ! がっかり秋ドラマ

■君の花になる
 TBS系 火曜夜10時 出演/本田翼 高橋文哉 宮世琉弥

■クロサギ
 TBS系 金曜夜10時 出演/平野紫耀 黒島結菜 井之脇海

■親愛なる僕へ殺意をこめて
 フジテレビ系 水曜夜10時 出演/山田涼介 川栄李奈 門脇麦

 秋クール全体を通して見ると、『silent』を筆頭に原作のないオリジナルドラマの良作が目立ち、ドラマ業界全体にも新たな流れが垣間見えた有意義なクールだったとカトリーヌさんは語る。

「原点回帰と新機軸の両方があって、収穫はとても多かった。特に恋愛ドラマは『silent』のヒットでガラッと流れが変わりそう。

『エルピス』みたいに社会的なテーマに深く切り込んでいく作品があってもいいし、『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)みたいにバディ役の瀬戸康史さんが真犯人というどんでん返しが中盤にあって、そこからキャラも作風もタイトルも変わるというドラマの新たな形を探ってて面白い。

'90年代のドラマブームから30年を経て、ようやく新しい芽が出てきた……そんな希望を感じました」

お話を伺ったのは……

カトリーヌあやこ
漫画家、ドラマウォッチャー。『週刊ザテレビジョン』にてイラストコラム「すちゃらかTV!」、『週刊朝日』にて「てれてれテレビ」を連載

取材・文/蒔田陽平