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前衛弁当作家のナンシーさん。この名前に聞き覚えがなくても、少し前に“能面弁当”をバズらせた人、と聞けば誰もが「あ~」となるだろう。それくらいクセ強め&インパクト抜群の弁当だった。
“もっと面倒なことをしてやろう”で始めたアート弁当
しかしナンシーさんのSNSを見て驚いた。その作品群の中では能面弁当さえ控えめに見える。え、いや待って。ナンシーさんの作品は、まさに前衛。弁当アート、アートのるつぼなの!? “この人何なんだ~!!”そんな疑問に突き動かされ、取材を決行!!
「ひとり息子が独立して、夫婦で空の巣症候群ってやつになりました。もう夫のためだけに弁当を作るのが面倒くさくてねぇ。どうしたら面倒でなくなるかを考えた結果、“もっと面倒なことをしてやろう”って始めてみたんよ~」
広島弁の可愛らしいしゃべり口調に癒される。ナンシーさんの本業は広告デザイナー。仕事で土日に休みはない。週に3回はアート弁当を作り、SNSにアップする。
「本当は毎日作りたいんよ。でもポンコツじゃけ~(笑)。起こされないと起きられんのに、オットさん、起こさないで出かけちゃうことも多いからねぇ」
パートナーのオットさんの優しい人柄も見えるよう。
「好き嫌いがないから、出されたものは食べる人。心がこもっているかは別として、毎日“おいしかった”と言ってくれます。これもオットさん流・夫婦円満の秘訣じゃね」
と笑う。だが実際、ナンシーさんの弁当はおいしそう!! 一見、米がキャンバスのようになっている弁当でも中にしっかりおかずが仕込まれており、食べる人への愛情を感じる。
時にはオットさんのほうから“大好きなビリー・アイリッシュの弁当を作って”などリクエストが出ることも。
「今では“周りが面白がってくれるならよかった”と一緒に楽しんでくれています」