「無人販売でも安全に売る方法はあります。ロッカー型の冷凍自販機に商品を入れておけばいい。自販機なら投入した金額に応じてロッカーが開錠されます。あるいは、無人コンビニが導入している顔認証システムや重量センサーで自動決済をすることも技術的には可能です。

 ただし、冷凍ロッカーは70万から120万円、顔認証やセンサーも80万円以上の費用がかかる。頻繁に窃盗が起きているならともかく、月1~2件の被害のために、それだけのコストをかけられるかという難題があります」

無人販売に期待したい企業

 異物混入のリスクについてはどうか。前出の北村さんは、「故意に破れないパッケージにするなどして対策をとる必要があります。また商品を搬入したり陳列したりする際に、商品のパッケージが破られていないか、異常はないかなど、店側が厳しくチェックし続けるかがカギになります」と話す。

 こうした対策に加えて、商品の品ぞろえを工夫することで、被害を防ぐ無人販売所もある。東京・中野などで古着の24時間営業を行う『ムジンノフクヤ』だ。

「4坪の店内に並んでいる古着はトップスが中心。販売価格は1480円からで、自動販売機に代金を入れて支払う仕組みです。オープンから1年弱の間に盗難が2件と、もともと被害は少なかったんですが、さらに商品構成を工夫することで防犯対策をしています。

 それは、一点物の古着をそろえること。こうすれば転売しても発覚しやすくなるため、万引きの抑止にもなるというわけです。食品のケースには、そのまま使えるアイデアではないでしょうが、防犯対策を考えるうえでヒントになるはずです」(北村さん)

 長引くコロナ禍の中、ますます勢いに乗りそうな無人販売所。今後、注目したい店の種類を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

古着の無人販売を行う『ムジンノフクヤ』
古着の無人販売を行う『ムジンノフクヤ』
【写真】鮮度抜群の肉が各種揃って大人気!肉専門の無人販売所

「もし『オリジン弁当』や『ほっともっと』が無人販売所をつくったら、コンビニ弁当の手ごわいライバルになるでしょうね。『餃子の王将』や『コメダ珈琲』のような、誰もが知っているブランドを持つ企業が新規参入してきたら、また違うニーズを掘り起こせるのではないかと思います」

 と、前出の山路さん。一方、北村さんからは、食品以外のジャンルの提案が。

「注目したいのは古本。実は古本には、定期的に古本市が開かれるなど一定のニーズがあります。便利であることはもちろんですが、ジャンルを問わず、楽しさを追求する無人販売所が増えることを期待しています」(北村さん)