サイトに登場するスタッフは、その技術を雄弁に語る。その一部を抜粋する(以下、『COURT SIDE』より引用)。

《(ゴールネットの揺れは)自動化しまして。設定をいくつか選べるようにして、アニメーターさんのほうでボタンを押せばシミュレーションが完成する(中略)。ただ、監督のこだわりのあるいくつかのカットについては、時間をかけて手作業で調整を重ねました》

《自動化できてるっていうのは確かにすごい》

《自動化は多分、今のところ世界唯一なんじゃない?》

《海外だったら作れちゃうのかなと思いますが(笑)》

《この作品としての見どころですが、これだけ細かいシワが入るシミュレーションは…メチャクチャ作るのが大変なんですね。で、コストもすごいかかるんです。国内でこれだけシミュレーションが入る作品は珍しいと思います。相当ハイレベルな技術が詰まっていると思います》

 随分な“自画自賛”と“褒め合い”だ。しかし、彼らが誇るその“映像”にも、公開前から苦言が飛んでいる。

背景が「手抜き」「PS2レベル」

「特に指摘されているのが背景ですね。ジブリの宮崎駿先生が重要視しているように、作品において背景美術はその価値をわかりやすく示すものの1つ。今回の劇場版スラムダンクの試合中の背景は、現状公開されている予告編を見る限り、“動かない1枚絵”という、止まった絵。まったく臨場感のないものです。しかもその背景の観客というのが、全員が若干うつむき加減で、応援しているどころか試合を観ているようにも見えないもので……」

 これについてはネットでも辛辣な声が。

《背景葬式やん》

《客席が手抜き》

《背景がぼんやりさせすぎててこれで臨場感ある絵になるのか》

《背景死んでる。PS2レベル いや迫力、、いや臨場感。。。》

《時間かけて作ってる映画なのに製作費ケチってるのか?》

 しかし、これには理由があるといえばある。

背景を動かしすぎる、または色合いを抑えないと、背景の前面にいるメインとなるキャラに目がいかないということはあります。そのため、背景はあまり動くものにしない、色を淡くするといった描き方をする。

 しかし、予告を見た限りスラムダンクは“中途半端に描いている”から違和感を生んでいるのではないでしょうか。スポーツ系のアニメは観客を“点”のように描くか、もしくは割り切って“描かない”というのが一般的です。その方が観る人の目は自然とキャラに集中します。実際、前作までのスラムダンクのアニメ映画はそうしていますし」(アニメーター)。