圧迫骨折とは、ポキっと折れる普通の骨折とは違う。
「人間の身体は、いちばん上に重い頭があり首の骨、胸部分の骨である胸椎、そして腰椎で支えられています。たとえば骨の弱い人が転んで尻もちをつくと、重力で上下から圧迫されて骨が潰れてしまう。これが圧迫骨折となります。
潰れやすいのは腰椎の缶詰のような部分。ここを“椎体(ついたい)”といいますが、このお腹側が潰れやすい。靭帯や神経は背中側を走っていますが、重症な圧迫骨折ですとそこまで影響を及ぼします。神経まで圧迫されると、手足が動かなくなったり、激しい痛みが出て、手術する必要が出てきます」
治らない腰骨はどうなるのか
缶詰のような部分の椎体は横から見ると長方形となっている。圧迫骨折でお腹側が潰れた状態は、長方形の片側が潰れ、三角形のようになってしまった状態だ。
圧迫骨折の“原因”は。
「もちろん若い人でも何らかの衝撃を与えられたら圧迫骨折に至る可能性はありますが、“圧迫骨折に至りやすい”要因として、いちばん考えられるのは骨粗鬆症です。圧迫骨折となった人のレントゲン写真を見るとよくわかるのですが、骨のカルシウムが抜けてスカスカの状態となっていることが多い。骨粗鬆症が進んでしまっている人は、椅子にドスンと腰をかけただけで骨が潰れたりします」
圧迫骨折は“治らない”とはどういうことか。
「潰れてしまった骨は基本的には元に戻りません。元の缶詰のような形になることはないということです。手足などの骨折はギブスを巻いて時間が経てば自然につながって元に戻りますが、腰の骨は潰れたら元には戻りません」
治らない腰骨はどうなるのか。
「潰れた骨は戻らないので“完治”はしません。ただ、元には戻りませんが、潰れた骨はしばらく経つと、潰れたままそれなりに固まってきます。大切なのは最初の1〜2週間の安静。この間に無理をすると接着しようとしている骨が、またボロボロになってしまいます。そのため2週間くらいは安静が重要。その後、潰れてしまった骨がさらにズレないように腰の周りを固いコルセットでしっかりと固定してリハビリとなります。それがだいたい2~3か月程度かかります」