女性の本質を見抜く力が備わってきた
うまくやっていくには俯瞰で見る力が大事だと話す。
「興味がない話でも聞く。とにかく聞く力が鍛えられますね。女性は話したい、聞いてもらいたいんだということがよくわかります」(イデさん)
女性社会にいることで、ホンネを知ることができるので、女性を見抜く力が備わるという。だが、女心がわかるようになれば、やはりモテるのでは?
「普段は男らしさを消しているのでそんなことは(笑)。けれど、確かに職場結婚はよく聞く話かもしれません。気の強い女性が多いですが、その人の本質も見ることができる仕事だと思うので、看護師同士の結婚も多いのは確か。もちろん、男性看護師よりも医師のほうがいい、といった空気感はありますが、医師だからモテるということもないですよ」(シンジョーさん)
やはり優しく寄り添うことのできる男性看護師は女性からの好感度は高いのかも。
「つらいことばかり語ってきましたが、男性看護師だからこそ可愛がってもらえることもあります。男性の患者さんからも男なら気楽だと言ってもらえることもあり、やりがいもありますし、いい面もあるんですよ」(イデさん)
男性看護師は少ない分、仲間意識は強いようで、男性だけの看護師会など集まりもあるとか。もっと男性看護師が増えてほしいと2人は切実に語る。
「この仕事の何よりのメリットは全国どこでも行けること。“手に職つける”仕事なので、どこでも仕事はある。住みたいところで働けるのがいいんです」(イデさん)
実際にイデさんは現在勤める病院が4つ目、シンジョーさんも大学病院2か所を経験している。それは珍しくはないそう。
「都市圏だけでなく、北海道や沖縄、離島と、住んでみたい場所から勤務先を選べる点は魅力。それぞれの理由や目的で選ぶことができます」(シンジョーさん)
比較的短い期間で辞めてしまうのは、職場環境が理由なだけでなく、自分らしい自由な働き方ができるため、転職が多いともいえる。
ドラマ内で岡田が演じる看護師、ナース・プラクティショナー(一定の医療行為を実施できる看護資格)は、まだ日本では少ない。ただ、どこでも働けるさすらいの“トラベルナース”は新しい働き方として注目もされている。
「在宅看護も増えていて、訪問看護師という道もあり、働き方の選択肢が広いというのも看護師のメリット。命に関わる仕事なので、単純に楽しいことだけの仕事ではありませんが、年齢を重ねても自分次第で働き続けられます」(イデさん)
男性看護師ならではの苦悩はあるものの、自由に働き続ける。中井が演じるベテランの看護師は男性看護師たちの希望の星なのかもしれない。
<取材・文/竹腰奈生>