愛子さまがお持ちの「皇族としての想像力」
皇室に入られてからの雅子さまは、陛下からの愛情と優しさに包まれてきたことを実感されているから、ご自身も同じように「愛子を全力で守る」という覚悟を抱かれているのだと思います。ご一家の“愛の連鎖”が、理想の家族である所以なのではないでしょうか。ご結婚から今に至るまで陛下から受けた愛情があるからこそ、令和の皇后となった現在、陛下と同じように国民の幸せを願われていることに繋がっているのだと思います。
愛子さまが学習院大学の文学部日本語日本文学科に進学されたのも、雅子さまの影響が大きいと思います。お父さまのお仕事の関係上、幼いころから海外生活が長かった雅子さまですが、お母さまである小和田優美子さんから「海外で生活するには日本のことを知らないと根無し草になってしまう」と教わっていたそうです。日本の伝統文化や美意識を学んで“日本人としてのアイデンティティー”を持つことが大切なのだと。
愛子さまが成年皇族になられた後、外国の方と交流する場面は多い。その際に日本のことをよく理解していることが大事だと、雅子さまから教わっているのではないかと思います。雅子さまはハーバード大学時代に日本文化クラブを創設したり、外務省時代には和食を習うなど、日本を理解するように努めてこられました。日本文化のお話しも普段から聞いているでしょうから、愛子さまが日本文学科に進まれたのは自然な流れだったと思います。
そんな愛子さまが行われた成年会見は素晴らしかったですね。家族仲がとても良いということや、「長所はどこでも寝られるところ」といったユーモアを交えてお話しされていて……。会見を通して強く感じたのは、愛子さまは想像力が豊かな方だということです。皇族の方々は公務でいろいろな方と交流されます。
その際に「この方はどんな人生を送ってこられたのだろう」と想像しながら交流する、ということが“心を寄せる”ということなのだと思います。公務に出たら終わりではなく、例えば式典が開かれるまでに多くの人が関わり、当日のために関係者の方々が万全の準備をしてきた過程を想像して思いを馳せる。愛子さまは、その想像力をすでにお持ちなのだと思いました。
成年皇族になられた愛子さまは今後、内親王として公務に邁進されることでしょう。その時には、普段からコミュニケーションをとられているご両親に相談をしながら、立派なお姿を見せていただけると確信しています。両陛下は結婚30年という節目を迎えられますが、これからは愛子さまも含めた天皇ご一家で活躍されるお姿に、今から期待で胸を膨らませているところです。
Profile つげのり子
2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。