山田邦子の審査員加入が真空ジェシカの追い風になる?
真空ジェシカは、'12年に結成。ツッコミのガクとボケの川北茂澄(しげと)からなる、プロダクション人力舎所属のコンビ。
昨年の『M-1グランプリ2021』では決勝戦進出を果たし、審査員たちにワードセンスが抜群だと言わしめた実力者だ。2年連続のファイナリスト入りで山田が高く評価するのも納得だが、お笑いファンが着目したのは彼らへの“追い風”だった。
「真空ジェシカは昨年10組中6位でしたが、決勝戦のファーストラウンドで“89点”“90点”と、比較的厳しめの評価を下していたのが上沼さんとオール巨人さんでした。
今年は2人が去り、代わりに加わる山田さんが“推し”を公言したことで、ネット上では《優勝マジであるぞ》との声も寄せられています」(お笑い雑誌ライター)
自身も歩んだ“枠にはまらない新しいこと”を評価する期待
昨年とは異なる新しい“風”が吹きそうな予感だが、山田の審査員抜擢について、江戸川大学マスコミ学科教授で、お笑い評論家でもある西条昇さんはこう語る。
「上沼さんと同じような上方女流漫才のハイヒール・モモコさんなどではなくて、東京の、しかも漫才じゃなくてピン芸でやってこられた女性芸人の山田邦子さんが抜擢されたのは、ある意味納得の人事と言えます。
山田さん以外の審査員には“ピン芸”である落語家の立川志らくさんがいますし、以前は志らくさんの師匠である立川談志さんが務めたこともありました。“ピン芸人”だからといって、『M-1』の審査員に向いていないということはありません。
さらに言えば、コント赤信号の渡辺正行さんやラサール石井さんが審査員を務めたこともある。必ずしも、漫才専門の方じゃないとダメということではないんです」
加えて、山田は“漫才師”と深く関わってきたとも。
「山田さんがデビューした'80年は、ちょうど漫才ブームの真っ只中。ビートたけしさんや島田紳助さんなど、第一線の人たちと一緒に『オレたちひょうきん族』を長くやってきた人。
漫才ブームをリードした人たちにある種揉まれながらというか、互角に渡り合って笑いを取ってきたわけです。漫才で活躍した人たちをそうやって間近で見てきたことがあるので、専門ではないけれども、漫才に対しても鋭い感性を持っていると思います」
審査員としての姿勢に関しては、こう推測する。
「上沼さんは、ご自身がやられたり見てきたりした漫才の“概念”というか、“漫才とはこういうものだ”という芸についての“哲学”がすごくしっかりしていらっしゃる方ですよね。なので、その哲学にはまらないようなスタイルの芸人さんに関しては、割と厳しめのコメントをされることもありました。
一方で山田さんは、漫才に対して強い哲学を持っていらっしゃるわけではないでしょうから、上沼さんと比べると、“新しいことをやろうとする姿勢”を高く評価されるんじゃないかなと思います。
バスガイドのネタでデビューされたときも枠にはまらない新しいことをされていましたし、そういう意味でも、若手芸人の思い切って挑戦をする姿勢に関して理解があると思います」
天下をとったレジェンドの加入で、“かつてない”大会になる!?