「例えば、ひらがなや漢字には“とめ・はね・はらい”がありますが、右手ではうまく“はらえる”文字も、左手ではできないことが多いです。横書きの場合は、左手の小指側が黒く汚れてしまったり、字が手に隠れて見えづらかったり。
鉛筆やペンそのものに“右利き用・左利き用”はありませんが、学習するうえでは右利きのほうが効率がよいため、左利きのお子さんが“自己流”の持ち方や姿勢になる傾向はあるでしょう」(笹田教授、以下同)
「大人になってからでも直せる」
ペンを正しく持てないと、疲れやすい、肩がこる、ペンだこができるなどの症状にもつながるというが、
「利き手は、右脳と左脳の発育結果として、子どもが自ら“選択”するものであり、無理に右利きに矯正すべきではありません。左利きの子どもの周りにいる大人が、その困難さに寄り添ってサポートすればいいでしょう。厳しくしつけるのではなく、“持ち方をこう変えれば字がきれいになるよ”“姿勢を正せば疲れにくくなるよ”と。
ICT(情報通信技術)が進む現代でも、受験や就職活動などのライフイベントで字を書く機会は多く、正しいペンの持ち方を身につけさせることは“大人から子どもへのプレゼント”ともいえます」
ペンの持ち方は、子どものうちに癖がつくイメージが強いが、笹田教授は「大人になってからでも直せる」と話す。
「マナーの面もそうですが、姿勢や眼精疲労などの心身の不調を改善するために、ペンを正しく持つことは重要です。子どもに比べて大人は、正しい形を認知したうえで意識を持続させることができるので、むしろ効果を感じやすいのではないでしょうか」
前出の皇室ジャーナリストは語る。
「皇族というお立場上、ペンの持ち方ひとつで品位が問われてしまうのも無理はありません。とはいえ、佳子さまはレフティのプリンセス。左利きならではのハンディがおありだと国民が理解し、あたたかく応援することが求められるでしょう」
佳子さまの“左利き”は、同じ悩みを抱える人々の励みになるかもしれない。
笹田 哲 神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科長・教授。作業療法士。『気になる子どものできた!が増える 書字指導アラカルト』(中央法規出版)など著書多数