「ボスの力になりたいんです!」組長に寄せていた“信頼”
ユキさんが山中組長と出会ったのは5年ほど前。都内のカウンターバーでユキさんが働いているところに、山中組長が訪れたという。
「佐々木と飲みに来た夫が、私のことを気に入ってくれたんです。そのころ2人はすでに仲がよく、夫は私のことを“かわいいだろ?”などと佐々木に話していたみたい。
佐々木は、夫と私の関係を見守っていてくれた“キューピッド”のような存在でもある。私たちが夫婦ゲンカすれば、夫も私もまっさきに電話して相談するのが佐々木だったんです」(ユキさん、以下同)
ユキさんは山中組長が暴力団関係者だと知りつつも、ほどなく深い関係になった。
「飲んだり遊んだりするのは、いつも3人一緒でした。佐々木は夫が逮捕されたときに、夫が暴力団関係者だと知ったとされていますが、夫と交際前の私ですら知っていたのですから、彼が知らなかったはずがありません」
佐々木被告は山中組長が東京拘置所に収監された2017年夏ごろに、東京・新橋でキャバクラ店をオープンさせたが、
「それについても、夫の仕事場が錦糸町から新橋に移ることになったと聞いて“ボスが新橋に行くなら、俺も新橋で店を開きます!”とか“ボスの力になりたいんです!”と言っていたんです」
表面上は別人物をオーナーに据えていたが、資金を出して実質的にお店を経営していたのは佐々木被告だった。
「当初は佐々木の名義で店を経営していましたが、佐々木が風営法違反で逮捕されてから、トラブルを避けるため別にオーナーを置くようになったんです。
夫は、そのガールズバーのオーナーを佐々木に紹介したり、新店舗の内装などについてアドバイスしたり、キャストとなる女の子集めの方法など、さまざまな助言をしていました。そのコンサルタント料は確かに佐々木から支払われていました」
「オレの親友を悪く言うな」
この“コンサルタント料”が、つまるところ“みかじめ料”になるのでは?
「佐々木を脅して無理やりお金を支払わせたのではなく、彼も了承したうえでのビジネスパートナーでした。佐々木に子どもが生まれたとき、夫はすごく喜んでいました。お互いの子どもの将来について話すぐらい。
ただ、佐々木の自宅は神奈川の相模原で、週に1回しか家に帰っていなかった。なので、夫は“家の近くに店を出して、もう少し帰ってあげな”と話していたんです。すると佐々木は“ボスの管轄以外で店を出しても、ボスのためになりません”と言っていました」
つまり、佐々木被告は山中組長が暴力団員であると知ったうえで協力したいと話していた、という。東京都が定める暴力団排除条例では、一般の事業者が暴力団に利益供与することを禁止している。
「夫は佐々木を本当に信頼していました。私がちょっとした佐々木の不満を言うと“オレの親友を悪く言うな”と怒るぐらい。昨年末から2回ほど、佐々木が行方をくらましたことがありました。
夫は“あいつ、飛んだ(※編集部注:行方をくらますこと)よ”って、悲しそうな顔で話していました。でも、佐々木はすぐに戻ってきたんです。本当に夫との付き合いが苦痛なのだったら、そのままいなくなればよかったのに……」