餅好きな医師のヘルシーな食べ方
川本先生おすすめのお餅の味つけは?
「きな粉です。これはイソフラボンという大豆タンパクの成分が含まれたスーパーフード。100グラム換算で、木綿豆腐の約45倍の食物繊維が含まれます。血糖値上昇もしっかり抑えてくれ、代謝上昇、肥満防止にもいい」
きな粉餅の定番の味つけといえば黒蜜。黒糖は普通の白砂糖に比べると、ミネラルやビタミンが豊富で、肌荒れやニキビを防ぐ効果のあるオリゴ糖が複数種類含まれており健康効果は高いのだが……。
「おすすめしたいのは『オリゴ糖のシロップ』。ガムシロップの代用品としてよく使われますが、なかでも『フラクトオリゴ糖』でできたものは甘みがありながら、分解されても糖になりにくいという特徴があります」
オリゴ糖はビフィズス菌、酪酸菌といった「痩せ菌」と呼ばれる腸内の善玉菌の餌になる。短鎖脂肪酸という酢酸や酪酸を作ることで、腸内でも糖質や脂質の分解を促すエネルギーになってくれる。きな粉の繊維質とオリゴ糖の組み合わせは、大きな健康効果が期待できるといえるだろう。
定番の「いそべ餅」も主食として優秀。
「のりには美肌効果があるビタミンC、糖質を効率よくエネルギーに変えるビタミンB1、B2や、骨を丈夫にするのに必要なビタミンKなど豊富な栄養素が含まれており、日本人が持つ腸内細菌との相性も抜群なんです。加えて、のりは水溶性繊維質という分類の食品。これは血糖値とコレステロール値の上昇を抑え、善玉菌の栄養となって腸内環境をきちんと整える働きがあります」
「納豆餅」も栄養満点。
「のりと同様にビタミンKがたくさん入っていて、大豆の繊維質、イソフラボン、タンパク質といった健康成分が豊富です」
上手に食べれば太りにくく、風邪予防も期待できるヘルシー食材である餅。効果的な食べ方で、この冬の「正月ヤセ」を狙ってみては。
みなと芝クリニック名誉院長。専門は消化器外科。日本消化器病学会認定専門医として、米国癌学会など国際的な学会にも所属。『結局、腸が9割』(アスコム)などの著書のほか、テレビ番組にも出演多数。
<取材・文/オフィス三銃士>