紅白歌合戦はご覧になるの?

「天皇陛下は元日の早朝から儀式があるため、まだ真っ暗な午前4時とか4時半には起床されると思います。そのため、前日の大みそかに遅くまで起きていらっしゃるとは考えにくい。少なくとも陛下は深夜に及ぶ番組はご覧にはならないと思いますよ」

 元日の早朝からいったい何をされているのか。

「元日は、早朝5時半から始まる四方拝というとても大事な儀式があるんです。神嘉殿という殿舎の前庭に敷かれた畳に座られ、四方の神々に向かって拝礼されます」

 天皇陛下の新年はこの祭祀から始まるのだ。

「宮内庁に在籍していたときに四方拝の直後に行われる歳旦祭の儀に参列したことがありますが、真冬の早朝、しかも屋外ですから、厳しい寒さで足の感覚がなくなったことを覚えています(苦笑)」

 この儀式の間、雅子さまはお慎みになっているが、午前9時45分の祝賀以降はご一緒にスケジュールをこなされる。

「両陛下は夕方まで部屋を次々に移動して、皇族や内閣総理大臣など多くの人々の祝賀をお受けになります」

 主なスケジュールを右ページにあげたが、目が回りそうなほどの分刻み。私たちにとって休日である元日は、陛下にとってはもっとも激務でいらっしゃる日なのだ。

高齢の新年一般参賀は行われるの?

 1月2日、天皇・皇后両陛下が皇族方と一緒に、皇居の宮殿東庭で国民から祝賀を受けられる一般参賀。

「コロナ禍以降は見送られていましたが、来年は3年ぶりに実施される予定です。ただし、今回は事前申し込み制。参加の申し込みは11月に終了しています」

 当日、皇室の方々は計6回ベランダに立たれる予定で、各回1500人、合計9000人のみが参加できる。抽選倍率はなんと約10倍とのこと。

「感染対策の面から、参加者の人数を非常に絞った形で行われることになりました。平成以降でいちばん多かったのは平成31年の15万人ほど、これまでの最多は1953年の64万人ですから、かなり少ないことがわかると思います」

 なお、最多人数を記録した翌年、一般参賀のため皇居に押し寄せた人々が二重橋の上で将棋倒しになり、17人が死亡、60人以上が重軽傷を負う事故が起きている。

「今年10月に韓国の梨泰院で起きた雑踏事故も記憶に新しいですが、この二重橋での事故などをふまえて日本の警察は雑踏警備に力を入れてきました。抽選に当たった人はどうぞ安心してお出かけになってください」

 抽選に外れた人にも朗報が。宮内庁庁舎前に記帳所が設けられ、こちらには誰でも参加することができる。

「上皇・上皇后両陛下は、こうした記帳簿を天皇・皇后時代にすべてご覧になっていたそうです。自分たちに対して記帳してくれたのだからすべて見なくては、というお考えだったようです」

 忙しい公務の合間を縫って膨大な量の記帳簿をご覧になっていたというおふたり。

「天皇陛下は皇太子時代からそういったお姿に接してきておられるので、同じお気持ちを持たれていると思います」