『ラヴィット!』の視聴者が応援したくなる要素

 お笑い評論家のラリー遠田氏も、川島のMC力を高く評価する。

「出演している芸人の人数もかなり多く、楽しい雰囲気の番組に仕上がっています。川島さんは芸人の中でも品があるイメージで、司会の技術も高いからMCに抜擢されたのでしょう。番組内では、司会者として共演する芸人やタレントの面白さを引き出し、番組を進めていますね」

 開始当初は視聴率が低く、先行きを不安視する声もあった。厳しい意見が寄せられても、川島は動じなかった。

前番組の『グッとラック!』を観ていた視聴者は“朝の憩いの場になぜ急にこんなケバブ屋みたいのができたんや”と思われたと思うんです(笑)。それでも暗いニュースはやらず、バラエティで行こうという部分は貫いてきた》(クイックジャパン‘21年12月号)

 MCとして危機感を持ち、放送後にはスタッフと毎日“川島反省会”。細かく意見交換し、芸人の面白さを引き出していくと、4か月ほどで空気が変わってきた。

『ラヴィット!』は視聴者が応援したくなる要素があるんですよ。“朝は真面目なことを言わなきゃダメでしょ”みたいな思いこみが世間にはあって、初期の批判はかなりつらかったと思います。でも、『ラヴィット!』は“朝からふざけてもいいじゃん”という共犯関係を、視聴者とうまく結べたのだと思いますね」(前出・西澤氏)

 出演者のMr.シャチホコは、川島だけでなくスタッフ全員で番組を面白くしようとしていると話す。

「スタッフさん全員が番組の流れを見てるんですよね。機材を運んでいて、忙しくてスタジオを直接見られないスタッフさんまでもが、モニターを見ていて、みんなで笑ってくれるんです。現場で笑ってもらえると、芸人って乗ってくるんですよね。このチームワークがあるから、『ラヴィット!』は面白いのだと思います」

 強い意気込みのあまり、川島がストイックになりすぎることも。

川島さんは『ラヴィット!』に対する気合が本当に強くて、やる気がないと判断した芸人さんや、爪痕を残しに来ただけの人のボケはわざとスルーすることもあります(笑)」(制作関係者)

 評判が高まるにつれて、業界人の注目度も高まっている。

『ラヴィット!』の影響力ってすごくて、出演するとすぐ次の仕事が決まるんですよ。僕の場合は、浜田省吾さんのモノマネで出たとき、その日のうちに仕事依頼の電話がかかってきました。影響力はトップクラス。モノマネ芸人が出たい番組ベスト3にも入ってくると思います」(前出・Mr.シャチホコ)

 川島は‘14年に新しいラジオ番組を始めたときに「いろんな世代の人に朝から大喜利で楽しい気持ちになってもらいたい」と話していた。以前から考えは変わっていない。

「12月28日に初のゴールデン特番『ゴールデンラヴィット!』が放送されます。3時間の生放送で、レギュラー陣とゲストが50人以上出演します」(前出・テレビ誌ライター)

 朝番組なのにゴールデン進出。川島は“朝の顔”どころか、もはや“TBSの顔”!?

Mr.シャチホコ(みすたー・しゃちほこ)ものまねタレント。所属事務所はオフィスK。主なレパートリーは、和田アキ子、Mr.Children、サバンナ高橋など。

ラリー遠田(らりー・とおだ) 作家・ライター、お笑い評論家。著書に『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)などがある。

西澤千央(にしざわ・ちひろ) フリーライター。『サイゾーウーマン』、『Quick Japan』、『GINZA』などで執筆。著書に『女芸人の壁』(文芸春秋)がある。