得体の知れない怖さ
瑛太といえば、'17年に出演した映画『ミックス。』でコメディ要素の強い演技を見せたり、'21年に放送された『リコカツ』(TBS系)では、硬派な自衛官を演じるなど、“悪役”のイメージはあまりないように思えるが……。
「実は、1月期に放送されたフジテレビ系の『ミステリという勿れ』で、物語のカギを握るミステリアスな役を怪演しています。さらに遡れば、'06年に放送された同局系のドラマ『アンフェア』でも、篠原涼子さんの相棒刑事という設定で出演し、最終話で篠原さんへの復讐を企んでいた黒幕だったことが判明するという、衝撃的な役を演じているんです」(同・ドラマ評論家)
悪役としての瑛太の魅力とは、どのような部分なのだろうか。コラムニストのペリー荻野さんに話を聞いた。
「長ゼリフも言えて、明るく腑抜けた演技もできて、多彩な役を演じられる役者さんだからこそ、普段の明るいイメージとのギャップで悪役の暗さが際立つと思うんですよね。今回の『エルピス』についても、瑛太さんが演じていたから、あのセリフの少なさで得体の知れない怖さを視聴者に植え付けられたのでしょう。しかも、瑛太さんは淡々と悪いことをする、みたいな不気味さを漂わせるので、ドラマに重厚感を持たせてくれるんですよね」
香川が演じてきたような“わかりやすい敵”とは異なる、新たな悪役像を瑛太は打ち出しているということなのだろう。
「役者にとって、悪役を演じることは芸の幅を広げる上で避けては通れないとよく言われますが、瑛太さんはこれまで悪役を含めたさまざまな役どころを担ってこられました。これからどんな悪役をやってくれるのかも楽しみですし、役者としての今後に注目したいですね」(ペリーさん)
'23年はいったいどんな役で、視聴者を驚かせてくれる!?