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よく見聞きする「パート主婦の年収の壁」。妻の年収が、ある一定額を超えると、夫の扶養控除が受けられないうえに、支払わなくてはならない保険料などが発生し、結果ソンをしてしまうというあれだ。それと似たような壁が、実は年金にも存在することをご存じだろうか?
額面は増えても手取りが減る
教えてくれたのは、税理士でファイナンシャルプランナーの犬山忠宏さん。
「年金の受給額が、ある金額を超えると、額面は増えたにもかかわらず、手取り額は減ってしまうという逆転現象が起きるんです」
増えたのに減ってしまうとは、まさに、超えてはいけない壁。現在、年金受給の繰り下げを検討している人は要注意だ。
「'22年4月の改正で、年金受給の最大繰り下げ年齢が70歳から75歳になりました。メリットは、受給額の増額です。受給を75歳まで繰り下げた場合、65歳から受給するのに比べ、単純計算で、8割以上多い受給額になります」(犬山さん、以下同)
当時、マスコミでもしきりにこれを伝えていたので、少しでも年金で得をするために、75歳とはいわなくても70歳への繰り下げ受給を検討し始めた人も多いのではないだろうか。
「しかし、先ほどの“壁”のことをしっかり考えないと、必ずしも多く受給できるとは限りません。それどころか、人によっては年間最大90万円のソンになるおそれもあるのです」