「外が騒がしかったので店から出ると、新田くんが倒れていて、稲掛くんはもういなかった。あとでわかったのですが、自転車で逃亡したみたいで……。みんな何があったのかわけがわからず、ポカーンとしていた」(前出・スナックのママ)
その場にいた忘年会に参加していた仲間が119番通報。被害者は病院へ搬送されたが、時すでに遅く、新田さんは失血死で死亡した。
同級生を刺して自転車で逃亡
逃亡していた稲掛容疑者は年が明けた1月1日、かつて住んでいたことがあった兵庫県姫路市にいた。地元の警察官に職質を受け、名前を、
「ミヤザキです」
と答えたが、すぐに嘘だとバレて逮捕。警察の取り調べに、
「刺したことは認めますが、殺すつもりはなかった」
と容疑を一部否認している。
容疑者は犯行現場から、1キロメートル離れた築34年の古びたワンルームマンションに、単身で住んでいた。家賃は月2万5000円。
玄関ドアには、
《この部屋に用があるかたはご一報ください》
という警察の貼り紙があった。だが、このマンションで彼の存在を知る人は皆無だった。
容疑者は中学卒業後、社会へ出ていた。最近は関西では“労働者の街”として知られる西成地区で日雇い労働をしていたという。
バツイチのようで、彼のSNSには、『バツイチの会』と題して、
《やあベイビー、たくさんの独身の女の子に会いたい たぶん、あなたを助けることができます》
などの投稿があった。
かたや、被害者となった新田さんも中学卒業後、高校には行かずに働いていたようだが、
「持病があったため、仕事はリタイアしていた。具体的にどこが悪いのかはわからないが……」(前出・知人)
事件現場から600メートルの市営住宅で独り暮らしをしていた。
「母親と妹は、別の棟に住んどるよ。ほとんど見かけないが、昔からおとなしい感じの人やね」(近隣住民)
捜査関係者はこう話す。
「1次会でも、ほかの仲間が把握しているような揉め事はなかった。本格的な取り調べはこれからですが、いまのところはまったく理解できない」
事件の真相究明が待たれる−−。