これまで投稿した動画は計15本あり、テーマは生活保護の制度やホームレス支援、中・高校生の妊娠までと幅広く、認知も着実に高まってきた。動画を見た困窮者とつながるケースもあるという。
「例えば生活に困ってはいても、ネットカフェでギリギリ暮らしていけているような人に対して支援団体がサポートできる機会は少ない。私たちのいちばんの目標はフォロワーを増やすことではなく、続けていくことで困っている人、ひとりひとりとつながっていくことです」
「おじさんユーザー」は間違いなく増える
数あるSNSツールの中で、おじさんティックトッカーたちがTikTokを選んだ理由に声をそろえて挙げるのが、知らない人にも動画が自動で表示される“広がりやすさ”。友人知人にSNSユーザーの少ないおじさん世代にとって、そのメリットはなにより大きい。
「有名人がバズるTwitterと違って、TikTokは誰でもバズる」と前出の原田教授。それがまたTikTok急成長の理由だと解説する。
「TikTokは何十回に一回の確率でバスりやすいようになっているので、投稿を続けているとどんな人でもたいていバズる。特に最初の数回は多くの人に表示されるためバズりやすく、投稿初期にバズり体験をさせることでそのまま投稿を継続させていく仕組み」(原田教授、以下同)
若者世代の絶大な支持を集め、驚異的な勢いでユーザーを増やし続けてきたTikTok。今はまだ少ないおじさんユーザーだが、原田教授は、
「おじさんコンテンツがウケると知って、TikTokを開設する中高年が続々と現れている。この先は間違いなくおじさんユーザーは増える」と予測。そう話す原田教授自身おじさんティックトッカーたちと同世代のひとりであり、彼らにエールを送る。
「解説系ティックトッカーは積み上げてきた経験値を生かせており、おじさんならではの存在。僕もすごく刺激を受けているし、素晴らしいと思います。Z世代の若者たちの反応にしても、“勉強になる”とみんな素直に見ています」
アキラ100%のようなコンプライアンスには気をつけたいが、拡散したいことがあれば中高年にもTikTokはおすすめといえそうだ。
はらだ・ようへい
マーケティングアナリスト。芝浦工業大学教授。信州大学特任教授、玉川大学非常勤講師。BSテレビ東京番組審議会委員。「さとり世代」「マイルドヤンキー」「伊達マスク」などさまざまな流行語を作った。『Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?』(光文社新書)など著書多数。