NGワード(4)「拒食症になってみたい」「悪いのは親」

「気持ち悪い(キモい)」が無理解からくるとすれば、誤解や偏見によるNGワードもある。

 摂食障害=やせる病気というイメージから「拒食症になってみたい」と軽い調子でうらやましがったり。ほとんどの当事者は「じゃあ、代わってやるよ」という気持ちだろう。

 また、家庭環境に原因があるのではということで「親が悪い」などと決めつける人も。実際、当事者の口から親への不満や批判が出ることもあるが、そこはなるべく聞き役に徹したい。悪口を言っていても、愛情を求める裏返しだったりもして「あなたに言われる筋合いじゃない」ということにもなりかねないからだ。

NGワード(5)「世界には飢え死にする子どももいるのに」

 食べない人、食べても吐く人に、こんなことを言う人もいる。一見、もっともらしいが、どれだけつらいかは本人にしかわからない。

 豊かな時代、豊かな国であっても、つらいものはつらいのだ。物質的な飢えより、精神的な飢えのほうが、解決しづらいともいえる。

NGワード(6)「そんなことでは結婚も出産もできない」

 これまた、ありがち。「このままでは結婚や出産ができない」「生理を復活させなきゃ」などと、せきたてる人もいるが、もともと、そういうことから逃れたくてやせている人もいる。

 特に最近は、フェミニズム的思想やLGBTQ的感性で中性的な存在を志向する人も増えてきた。そういう人にはむしろ、逆効果だったりもするのだ。

NGワード(7)「健康(元気)になったね」「回復期だから仕方ない」

 ほかの病気なら褒めや慰めにつながる言葉が、摂食障害ではそうならないことも多い。「健康(元気)」や「回復」は「太った」という意味に変換されやすく、不安や恐怖を呼び起こすからだ。

 体重が増え、前より食べられるようになったことを「仕方ない」とは思えない精神状態。これはやせることによって、現実のつらさが少し軽減したり、心配されたりというメリットを得ていたのに、太ることでそれが失われてしまうからでもある。

 なかには「まだ細いね」と言われた人が「これからどんどん太っていくみたい」と引っかかりを覚えたという例もある。