横浜流星との殺陣「やってきたことの違いを」
「佐々木小次郎って、巌流島で一撃で倒されちゃうイメージがあると思いますが(笑)、本作ではその前に武蔵と出会い、一緒に同じ釜の飯を食っていくうちに相手の強さを知り、畏怖、憧れ、そしてライバル心へと、グラデーションのように描かれていく。すごく感情に無理のない物語になっています」
横浜流星とは初共演。ポスター撮影の日に初めて会ったというが、
「流星くんは空手の世界一ですからね。本当に“当てる”距離感を極めた人。僕は、歌舞伎で様式美に特化した立ち回りをやってきていて。
歌舞伎は絶対届かない距離で殺陣をしますが、こういうエンタメの舞台では“本当に避けないと当たる”という距離感でやらないと、お客さんもハッとしないと思う。逆に、武闘派ふたりでの殺陣だと、今度は近すぎてしまう。
舞台は後ろの席や2階からも見るものなので、やはり余白が必要。だからふたりのやってきたことの違いがぶつかると面白い立ち回りになるんじゃないかなと思っています」
では、ライバルと聞いて思い浮かべる存在は?
「きれいごとで答えるなら、昨日の自分(笑)。でも、ライバルにはいろんな意味があると思っていて。武蔵と小次郎は認め合い、高め合える存在。精神的BLというか、愛でつながっている部分もあると思う。
“この男がいちばん自分を刺激してくれた”“奮い立たせてくれた”と、どうしても求めてしまう。そういう意味で言うなら、歌舞伎俳優では尾上右近くんかな」
幼稚園のころから、一緒に駄菓子屋に通っていた仲だと微笑む。
「夢を語り合い、そしてぶつかった時期もあったけど、お互いを認め合い、やっていることを尊重して応援できるのは彼かな」