「教職員らが“式辞発言”に対する説明を求めた文書を理事長に提出するも回答はありませんでした。そればかりか、教頭と副校長ら4名の役職を解任。私は理事長の名誉を傷つけ、教職員たちを扇動し、理事長の解任を企てたとして“懲戒解雇”処分を受けました。懲戒解雇なんて犯罪行為をした人に出すような処分なのに……」
この処分は翌日に撤回されたが、それが明かされたのは今井校長に解雇通知が届いた3日後である’21年7月8日のことだった。
「詳細はわかりませんが、外部から“解雇は適切ではない”と指摘があったよう。教職員のみが出席する朝礼で、理事長は“不徳の致すところ”と式辞での問題発言について謝罪し、処分を撤回したことを明かします。そして“今後は今井校長と手を携えてやっていく”と話していました」
しかしそれも一瞬の出来事で、再びパワハラが始まる。
《今井を信用するな》教職員らに届いた“怪文書”
「8月には話し合いで決めた人事配置を白紙に戻し、私に“次年度は人事に口出しができない立場だからな”と言うのです。’22年2月には、“すべての校長業務を副校長に移管する”と書かれた誓約書に無理やりサインをさせ、私から仕事を取り上げました。理事長に意見した教職員には昇給を決める面談をせずに最低評価をつける。私が使用していた校長室を、突然移動するよう命じられたこともありました」
教職員たちがお互い疑心暗鬼になるようなことも起きた。
ある教職員のプライベートに関する内容が書かれた手紙や、《今井を信用するな》などと書かれた“怪文書”が教職員らの自宅に届いたという。
’22年11月には理事長が代表を務める出版社が、持続化給付金を不正受給したとする疑惑も報じられた。
冒頭の教員は、訴訟を提起した理由についてこう語る。
「私たちが大事にしてきた教育を守るためにも、理事長の独裁をこれ以上、放置することはできません。理不尽な人事や、大声で怒鳴られて脅しのような言葉を投げかけられることもありました。そのため、理事長に何かされるのではないかと怖くなり、教職員は誰も声を上げることができなかったのです。しかし、生徒たちのためにも今こそ立ち上がり、教職員が一丸となって戦うべきだと思ったのです」
そして山岡理事長に対して、こう訴える。
「私たちの学校を返してください!」
この思いを持つのは、教職員たちだけではない。