完成した映画を見たふたりの様子は
信長と濃姫。最悪の出会いから心を通わせるようになり、お互いが唯一無二の存在となったふたりの激動の33年を描いた、これまでの時代劇を刷新する作品ができあがった。完成した映画を見た木村と綾瀬の反応がどんなものだったのかを聞くと、
「木村さんは、しばらく言葉が出てこなかったように見えました。何か噛みしめているような。その姿を見て監督と“うれしいね”と話したことを覚えています。
のちに木村さんが言ってくださった感想の中で“エンドロールの頭に自分の名前があり、そのあとにキャストやスタッフの方々のお名前がこんなにと思うほどあった。それが、隊列じゃないけれど、信長軍のように見えました”とおっしゃってくれて。本当に、この映画をやり遂げたんだと実感しました。
綾瀬さんは“私が知らなかったシーンは、こんなふうになってたんだ!”と驚いてくれて(笑)。(濃姫に仕える侍女・各務野役の)中谷美紀さんと一緒にご覧になられたのですが、おふたりともしばらく映画について立ち話をされていましたね。話が止まらなかったようで。その様子が非常にほほえましかったです」
改めて『宮本武蔵』に続き、共に作品を作り上げた主演の木村拓哉のすごさを聞くと、
「言葉にするのが難しいですね……。いろいろと思いがありすぎて(笑)。そうですね。(しばらく間があって)木村さんは、自分の100%では足りない。120%、150%の力を出さないと、と奮い立たせてくれる方だと思います」
監督、キャスト、スタッフ……作り手の思いが詰まった映画が公開された。
「みなさんに『レジェンド&バタフライ』を楽しんでいただきたい一心です。撮影中、木村さんに“明日は、(個人としても)楽しませていただきます”とお伝えした撮影シーンがありました。私自身、木村さんが演じる“本能寺の変”が見たくて仕方なかった。素晴らしいシーンになっていますので、ぜひご覧になっていただきたいです」
『レジェンド&バタフライ』の見どころ
●16歳から49歳までを演じきった木村拓哉
物見やぐらから、城に到着した濃姫の姿を見つめる16歳の信長。その横顔は、『あすなろ白書』や『ロングバケーション』当時に戻ったかのよう。そこから、「人であることなど、とうに捨てた」「われ、ひとにあらず、第六天魔王なり」と変わっていく信長の33年間をビジュアルでも表現。
●信長を名将へと育て上げる濃姫
“大うつけ”と呼ばれた16歳の青年が天下人へと成長していくその横には、マムシの異名をとった斎藤道三の娘で勝気な濃姫が。つねに信長と対等な関係の彼女。あるとき、濃姫が「異国の地に行ってみたい」と語ったことを心に刻む信長。いつしか、ふたりの夢になっていく。
●総製作費20億円の圧倒的なスケール感
CGに極力頼りたくないと考えていた大友監督。戦場や街など人が多く集まるシーンでは、200~400人のエキストラが参加した。そのエキストラひとりひとりに土をつけたりと、当時を再現するようなヘアメイクを施し、演技も指導。また、豪華絢爛な安土城など細部にまでこだわったオープンセットの数々や、国宝・重要文化財に指定されている場所での撮影なども見どころ。
●見たことのない本能寺の変
家臣である明智光秀が京都・本能寺に宿泊中の信長を襲撃した“本能寺の変”。これまで、数々の作品で描かれてきた名シーンだが、今作では驚きの展開が!