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ー “飯テロ”アニメプロデューサーが語った裏話

 昨年も“飯テロ”ドラマのパイオニア『孤独のグルメ 大晦日スペシャル』(テレビ東京系)が視聴率5.8%と大健闘した。テレ東発のグルメドラマの勢いは衰えを見せず、近年では『きのう何食べた?』『絶メシロード』『ゲキカラドウ』など数々のヒットを生み出している。

 そんな中、テレ東が今度はアニメで“飯テロ”を仕掛けているという。

 その作品は1月10日より放送中の『とんでもスキルで異世界放浪メシ』。ストーリーはごく普通のサラリーマン・ムコーダこと向田剛志が、ある日突然、魔王や魔物が存在するファンタジーの「異世界」へ召喚されてしまうという設定。

 異世界召喚を機にムコーダは現代の食料品を異世界へ取り寄せることができる「ネットスーパー」というスキルを得て、趣味である料理も生かして異世界を放浪していく。

 放送開始後から本作はTwitterでも話題に。《何がすごいって協力企業が画像の通りだからリアルな商品が登場して料理がリアルすぎて超絶飯テロアニメだから本当にお腹が減りまくる!!!》というツイートでは4万いいねが付いた。

“飯テロ”アニメプロデューサーが語った裏話

 そんな話題の“飯テロ”アニメについて、製作会社の株式会社MAPPAの小川崇博プロデューサーに話を聞いてみた。

「料理ドラマが好きで個人的によく見ていますが、“飯テロ”ブームに乗ろうという意図はありませんでした。純粋に魅力的な作品だったというのがアニメ化の一番の理由です」(小川プロデューサー・以下同)

 原作のライトノベルは、累計450万部を突破。アニメとして映像化するにあたり、やはり料理描写にはかなりこだわったようだ。

「本作では料理描写のクオリティーが作品としての魅力に直結すると思っています。よりリアルな描写を実現するために、料理撮影専門の株式会社バックスさんに料理メニューの再現から撮影までをお願いしました。料理を美味しく見せるプロの方々の撮影技術は本当に凄かったです」

 料理撮影専門のスタジオで料理参考のためだけに実写撮影を行うのは稀だそうだ。

「今回、バックスさんが再現メニューのレシピを作成、絵コンテをもとに調理から完成までの実写映像を撮影、そしてそれをアニメーターが絵に起こすという作り方をしています。通常の料理シーンよりも工程が多いので、本作の料理シーンにはかなりの時間がかかっています」

 そんな料理シーンをよりリアルにしているのが、実在する商品の登場だ。今回、食品メーカーなど複数企業からの協力があったそうで……。

「主人公のムコーダが作る料理は、日本のスーパーで売られている調味料を多用しています。実在の商品を出すことによってより視聴者の方が料理の味を想像しやすいのではないかと考えました。また、日本中どの地域の方でも馴染み深い企業様に協力していただければ、より親近感が沸くのではないかという狙いもありました」

 ちなみに第1話ではエバラの『生姜焼きのたれ』、第2話ではエバラ『てりやきのたれ』、第3話ではカゴメ『国産野菜で作ったミートソース』が使用されていた。

「弊社でもスポーツアニメやご当地アニメで実際の企業様からご協力頂いた事例はありますが、ここまで実在の商品を“美味い!”と言いながら食べる作品は初めてなのではないでしょうか。“テレビショッピングを見ているようだ”という視聴者様の感想を見かけたときには、思わずこちらが納得してしまいました」

 と、プロデューサー自身も視聴者の反響を目の当たりにしているようで……。

「MAPPA初の料理アニメという事で放送までは大変不安だったのですが、料理描写について沢山の反応をいただけて安心しました。実際に登場した商品を購入して料理を作ったというSNS投稿を見かけると、アニメから料理の美味しさが伝わったのだなと感じます。このアニメを見て美味しいものを作ったり食べたりしたくなっていただければ本望です」

『とんでもスキルで異世界放浪メシ』は毎週火曜24時よりテレビ東京ほかにて放送中。深夜の“飯テロ”にご用心を!