ビートたけし、明石家さんまとの忘れられない思い出
タレント相手で本当に怖い思いをしたことも。
「出張懺悔というものもあって、女子プロレスラーのダンプ松本さんに水をかけたときは、竹刀を持って本気でどこまでも追いかけてきて。ロケバスにも逃げ込めず、ガードレールに足をぶつけて、擦り傷ができました。
でも、基本的にみんな面白がっていました。NGが出ると“懺悔室に出られる”ってみんな喜ぶんですよ。水かぶるのに、おかしいでしょ。コーナーの撮影をしていると、あちこちから人がやってきて。ほかの番組の収録をしていた、松田聖子さんとか研ナオコさんなんかが遠巻きに見ていたりしていましたね」
『ひょうきん族』で欠かせないのは、なんといってもビートたけしと明石家さんまの存在だ。武者は、撮影当時のことをこう話す。
「あるとき私の撮影が終わって、全身の白塗りをシャワーで落としているとたけしさんが来て“これから飲むからおいでよ”と、誘ってくれたことがありました。そのとき、たけしさんに“お笑いってなんでしょうね”と聞いたら“お笑いっていうのはな、ガンジーみたいなもんだよ。無抵抗の抵抗だよ”と」
ガンジーはインド独立運動の指導者で、非暴力・不服従を徹底した人。権力に対するたけしの思いが込められた言葉はこう続く。
「“お笑いっていうのは平和の武器だぜ”と言ったんです。今でも印象に残っている言葉です。さんまさんは、昔からサービス精神旺盛で、本当にテレビで見るあのままの人。私の妻に“いつもお世話になっています”なんて言ってくれてね。番組に私をゲストで呼んでくれたりして、優しい人ですよ」
番組が終了するまでの約7年間、“日雇い神様(本人談)”を務め上げた武者は、「人生かけて◯と×を出していましたよ」と笑う。
'80年代ブームが到来している今、もう一度、当時のお笑いに触れてみるのもいいかもしれない!?