義理堅いユマニテの代表

 畠中代表は義理堅く、所属者を大切にすることでも知られる。かつて事務所を支えてくれた故・根津甚八さんが、うつ病を患い、仕事が出来なくなると、その生活を全面的に支えた。2016年に根津さんが他界した後も数年間、事務所のホームページの筆頭所属者は根津さんのままだった。いまもホームページには根津さんのコーナーがある。こういう事務所も稀だ。

 それだけに昨年2月の東出昌大(34)の契約解除問題で、畠中代表への批判が一部で起こると、芸能関係者、ドラマ関係者らは驚いた。

 東出は2020年1月に女優の唐田えりか(25)との不倫が報じられると、同7月に妻で女優の杏(36)と協議離婚。逆風にさらされた東出を畠中代表は守り、再起へ向けてのサポートをした。東出の仕事先には詫び、違約金も支払った。

 ところが、東出はその思いに背く行動をした。2021年10月、今度はロケ先のホテルに20代女性を呼び寄せたと報じられた。畠中代表は翌22年2月、東出との契約を解除する。

「仕事先に迷惑を掛け、畠中さんに謝罪させた後の2度目ですから、当たり前の判断。もしも処分しなかったら、甘い事務所だとして信用を失う。ほかの役者にも示しがつかない」(中小事務所幹部)

 畠中代表は契約解除時にこんな声明を出した。

「東出の配慮に欠ける行動でその再生への道は頓挫いたしました。その時、私たちが感じたものは怒りというよりも、徒労感と虚しさでした。そして熟慮の末に、これ以上共に歩くことはできないという結論に達しました」(畠中代表の声明より)

 淡々とした文面だった。もちろん顧問弁護士が事前に文面を見ていたはず。契約解除と声明には東出に自覚を促したい意味も込められていたのだろう。

 それでも「契約解除にあたって声明を出すのはおかしい」などと批判された。背景には近年、「芸能事務所はみんな悪」と考える向きが一部にあるからではないか。だが、実際には世間の会社がさまざまなのと同じで、ケース・バイ・ケースと捉えるべきだろう。