美声が特徴のあの番組も登場

 続く第2位は『ジェットストリーム』(TOKYO FM系)。落ち着いた声が特徴のパーソナリティーが“機長”となり、リスナーを空の旅にいざなうというコンセプトで、平日深夜にクラシック音楽や朗読を放送するイージーリスニングラジオだ。実は2022年、『ANN』よりひと足先に55周年を迎えた長寿番組でもある。

「若いころに海外に憧れ、番組内で流れる飛行機の音に夢を抱いた」(60代・男性)「国際線の飛行機に乗るのが夢になった」(60代・男性)など、当時の夢を振り返る声が寄せられた。また、故・城達也さんや伊武雅刀(73)、現在の福山雅治(54)など、名実共に“いい声”の芸能人が機長を務めるのも『ジェットストリーム』人気の一翼を担っている。

 そして第3位にランクインしたのが『全国こども電話相談室』(TBSラジオ系)。アンケートには「子どもたちの、真剣だけどかわいらしい相談がとても面白く、ためになった」(60代・男性)「回答を聞いた子どもたちが、納得したような、していないような返事をするのがかわいかった」(50代・女性)など、子どもたちに癒された、という声が多数。ほっこりタイムを提供してくれていた同番組だが、惜しまれつつ2008年に放送を終了している。

思春期の心を捉えて離さない内容が……

 また、テレビや雑誌とは違う、有名人たちの知られざる一面が垣間見えるのも、ラジオの醍醐味。前出の福富さんも、『セイ!ヤング』(文化放送系)や5位の『ヤングタウン』(MBS系)に出演していた、アリスのメンバー・谷村新司(74)の冴え渡りすぎる下ネタトークに「度肝を抜かれた」と話す。

「谷村さんが“裏本マニア”という事実は、ラジオを聴いていなければ、生涯知ることはなかったでしょうね。僕らの世代は、谷村さんからエロの知識を得ていたといっても過言ではないです」(福富さん)

谷村新司
谷村新司

 男性だけにとどまらず「兄と同じ部屋で過ごしていたころは『ヤンタン』を聴けなかったが、兄がひとり立ちしてからは気兼ねなく聴けるようになった」(70代・女性)など、ちょっとエッチなラジオは女性からも厚い支持を集めていたようだ。

 また、長寿番組のパーソナリティーは、ラジオを主戦場にしている人も多い、と福富さん。

「印象が強いのは、長年『大沢悠里のゆうゆうワイド』(TBSラジオ系)のパーソナリティーを務めていた大沢悠里さんですね。これもお色気満載の番組でしたが、放送時間は真っ昼間。

 夜勤で疲れて帰宅した人々に、エンターテインメントを提供していたんです。でも、リスナーの多くは彼の“声”しか知らなかったので、インターネットが登場して写真が公開されたときは『こんな顔してるんだ!』と、驚いたはず」(福富さん)

 人気お笑い芸人、空気階段の鈴木もぐら(35)も『ゆうゆうワイド』のリスナーであったことを公言している。『大沢悠里のゆうゆうワイド土曜日版』(TBSラジオ系)終了が報じられた際には、その悲しみを自身のラジオ内で語るなど、業界内に激震が走った。