冷静になって、子どもの行動の背景にある気持ちに焦点を当てることが重要だ。
「精神的にも少し距離をあける意識を。“近所のおばちゃん”くらいの感覚で見守るのがおすすめ。子どもの行動に大きく一喜一憂しなくてすみますし、過度なプレッシャーや期待をかけることもなくなり、気持ちがラクになります」
ひとりで抱え込まず、誰かを頼ることも大切と訴える。
「誰しも少なからず“完璧な母親”を求めがちですが、できない自分、弱い自分でいいんです。不登校になったことを受け入れられない気持ち、子どもの将来が不安になってしまう気持ちを抱えていて当然です」
近くに相談できる人がいなければ、地域にあるフリースクールや同じ不登校の子どもを持つ「親の会」でもいい。背負っている悩みを少しでも“荷下ろし”すること。
最後に、土橋さんがもっとも心にとどめてほしいと語ったのは、“不登校=悪いこと”という考えを捨てること。
「教室でのいじめや担任の先生に傷つく言葉を浴びせられたといった時、ほかのクラスに移ったり、転校したり、自宅やフリースクールで学んだりということがフレキシブルに認められたら、“不登校”は大した問題にならないはず。
問題なのは、子どもの学び場の選択肢が今所属している学校やクラスしかないということ。学校へ行かないこと自体をネガティブに捉えすぎなくてもいいし、ましてやこれまでの子育てや関わり方で自分を責める必要もないのです」
最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ(中学校)
・身体の不調(学校に行こうとするとお腹が痛くなったなど) 32.6%
・勉強がわからない(授業がおもしろくなかった、成績がよくなかった、テストの点がよくなかったなど)27.6%
・先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど) 27.5%
・友達のこと(いやがらせやいじめ以外) 25.6%
・生活リズムの乱れ(朝起きられなかったなど) 25.5%
2021年度に30日以上欠席した不登校の小中学生は、約24万5千人と過去最多。2020年度の調査では不登校の原因は多様化し、「自分でもよくわからない」という回答も22.9%(文部科学省「令和2年度不登校児童生徒の実態調査」より)
(取材・文/河端直子)