「ものづくりとは問題解決だと私は考えています。売れない商品には何らかの課題があり、新たな要素をプラスしてその課題を解決できたときには、“これは売れる!”という感覚がビビッときますね」
あえて大衆受けを狙わないこともポイント。
「経験上、これがウケるかどうか五分五分と感じる商品ほど大ヒットします。8~9割の人が受け入れるような商品は無風なのに対して、賛否が分かれるものはいわゆるアンチの意見が意図せず商品を後押ししてくれる。
そういうものを世に出すのは勇気がいりますが、それがハマったときの勢いはすごいと感じます」
このパターンでヒットした商品が液状のり『アラビックヤマト』の容器にハチミツが入った『はちみつ アラビックリ!? ヤマト』。
「発表してすぐトレンド1位になった思い出深い商品です。といっても、大多数は“子どもが間違えてのりを食べたらどうする”というお叱りの声でショックでしたが、そこから注意喚起のシールを作成。それで非難は落ち着き、最終的には大ヒットとなりました」
発売のタイミングも重要。
「発売したのは、家で楽しめるグッズへの需要が高まったコロナ禍の時期。それもヒットの要因になったと思います。もうひとつ付け加えるなら、誰かに伝えたくなるようなコミュニケーションを生むグッズがいいと私は考えています。
文房具とのコラボグッズは“懐かしいね”と親子3代で会話が弾みますから、今後も力を入れてやっていきたいですね」
(取材・文/中西美紀)