逃げ場がなかった撮影現場
オーディションで役を射止め、インド出身の監督、スタッフもほぼ外国人という初めての環境で撮影に臨んだ。
「例えば、澄子は一度もバッグを持たず手ぶら。違和感があるけど監督は気にしない。(撮影や役への)アプローチの仕方も全然違って、言葉が通じないからこそ細かい部分を感じ合って作れたと思うこともあるので、現場での不安定さと集中が澄子の役にも反映されていると思います。
撮影場所にプロデューサー、マネージャー、ヘアメイク、スタイリストが入れないのも初めてでした。照明、カメラ、音声、通訳、俳優と合わせても6、7人だけ。逃げ場がなくて(悩みや相談を)吐き出したいけど吐き出すこともできない。腹をくくってやるしかなかったし、乗り越えていかないといけないと感じる毎日でした」
人気グラビアタレントとして一世を風靡しバラエティー番組で活躍。結婚、出産を経た約10年前から女優に本腰を入れるため演技レッスンのほか日舞や茶道にも取り組み2019年に『第62回ブルーリボン賞』助演女優賞を受賞し、実力を証明した。
「女優さんにはいろんなタイプがいると思う。主役をお願いされ、やったらめちゃくちゃ上手で、いつでも求められる人がスター。残念ながら私はそうではなかった。
この世界に楽しくい続けるためには努力しかないと思いました。女優の仕事がなかった期間もあります。つかめない雲をつかむようにいろんなことをやってきたからこそ今があると思っています」